2024年10月27日に行われた衆議院議員選挙は、与党(自民・公明)の過半数割れという結果に終わった。はなこタイムスでは北多摩5市に特化した立場から、投票傾向などを分析したい。

 まずは投票率を見ていこう。全国平均では53.85%と戦後3番目の低さになった。「政治と金の問題」から与党人気が低迷し、野党からは政権交代という声も上がる中、実際に政権交代が起きた2009年の69.28%に比べると、国民の熱量は低かったようだ。

 北多摩5市においては小平と西東京が高く58%台、東久留米と東村山が低く55%台となっている。いずれの市も全国平均よりも高い投票率となっており、北多摩5市住民には一定の関心があったことがうかがえる。

 まずは小選挙区の結果である。

 今回の選挙から区割りが変わり、北多摩5市は3つの選挙区に分かれることになった。東京18区に西東京、東京19区に小平、東京20区に清瀬と東久留米、東村山が属している。それぞれの選挙区について見ていきたい(黄色は1位、橙は比例復活)。

 東京18区は、自民の新人福田かおる氏が、立憲の新人で元武蔵野市長の松下玲子氏を抑えて新人対決に勝利した。得票差はわずか2182票であった。福田氏は松下氏の地元である武蔵野で3538票上回っており、逆に小金井で1864票差をつけられて2位になっているのが興味深い。記者は数年前から、たびたび西東京や武蔵野の小さな会合に福田氏の姿があり、自民から出馬することをアピールしているのを目撃している。しっかり準備した上での勝利だったことがうかがえる。松下氏は比例で復活当選している。

 東京19区は打って変わって現職同士の戦いとなった。前回2021年の衆院選でも東京19区(当時は小平・国分寺・西東京)で激突した、立憲の末松義規氏と自民の松本洋平氏の争いは、前回同様末松氏の辛勝となった。松本氏は捲土重来を期してこの3年間丁寧に地元を回っていた印象だが、自民への逆風もあってか勝利はかなわなかった。新しく選挙区となった国立の動向が焦点の一つだったが、こちらも末松氏が上回った。松本氏は前回同様、比例で復活当選を果たしている。

東京20区は前官房副長官で岸田前首相の懐刀といわれた木原誠二氏が、自民逆風の中どう戦うかがポイントだった。週刊誌にスキャンダルも掲載されたが、それをものともせず、全部の市で10ポイント以上の差をつけた。圧勝といっていいだろう。

国民の大西健太郎氏と共産の宮本徹氏は票を食い合った印象がある。もし野党が一本化していれば、違った展開もあったかもしれない。今回、北多摩5市の中では投票率が低めだったのは、木原氏1強の状況を反映してのことだったのだろうか。なおこの選挙区での比例復活はなかった。

続いて比例代表を見ていこう(橙は1位、青は2位、緑は3位)。

 東京都全体では23.6%の得票の自民が1位で、20.5%の得票の立憲が2位であった(いずれも5議席を獲得)。北多摩5市では、3市で自民が1位だったが、小平と西東京の2市で立憲が1位になったことは特筆すべきことであろう。わずか1%ほどの違いではあるが、この差が19区での末松氏の勝利につながったとも考えられる。

 グラフにするといくつか気付くことがある。一番左の青が東京都全体、橙が5市合計、灰が東村山、黄が清瀬、水色が東久留米、緑が小平、藍が西東京を表している。

 自民への投票で東京平均を上回ったのは西東京だけであった。立憲では西東京と小平が平均を上回っており、西東京の投票がこの2政党に集中していることがわかる。

 国民への票は5市ともに平均よりも少なく、公明への票は多くなっていることがわかる。特に東村山での公明の多さは際立っている。

 維新はこの5市では人気がないと言ってもいいだろう。共産は都の平均よりかなり高く、清瀬と東久留米で特に票を集めていることがわかる。

 裏金問題が争点とされ、多摩地区の八王子では萩生田氏が自民の公認候補から外れたが、苦戦の予想を覆して当選した。与党は過半数を維持できなかったが、野党に過半数を形成するほどの求心力はなく、しばらくは不安定な政治状況が続くだろう。誰が首相になっても難しい状況だが、そのかじ取りに注目したい。

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By 高橋靖

東久留米市のコミュニティFM局「TOKYO854くるめラ」代表取締役。

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