鷹の台公園・原っぱ広場のイメージ(小平市提供)

 小平市は新設する「鷹の台公園」を核に市南西部の94公園と複数の公共施設の運営・管理を一括して民間事業者に委任する事業を進めている。小平市議会は12月18日の定例会で事業者を選定する議案を全会一致で可決し、事業が本格始動した。12月27日には選定事業者と基本協定を締結。大規模公園を核にスケールメリットを生かした地域の活性化を公民連携で図っていく。これだけ広域・複合的な事業を一括して民間に委ねる事例は全国初という。

 鷹の台公園整備事業は西武国分寺線・鷹の台駅に近い小平市たかの台の旧学校グラウンド跡地約1万3000平方メートルを公園として活用する計画。小平市は2021年度から22年度にかけて市民ヒアリングや都市公園セミナー、社会実験イベント、ワークショップ、市場調査などを実施し、地域住民の声を生かして整備内容や管理・運営の方向性を含む事業のあり方について検討してきた。

 基本計画では、開放的な原っぱ広場を中心に移動販売が出店できるマーケットエリア、イベント広場、遊具がある多目的広場、幼児向け遊育広場、階段状ウッドデッキの休憩スペース、散策エリア、防災倉庫などを配置し、各所に緑豊かな植栽を施す。

 この公園を核に周辺地域にある中小規模の公園や公的施設に指定管理制度を導入し、包括的な管理・運営を行うことで相乗効果を引き出し、民間のアイデアを生かしながら施設単体では実現できない公民連携事業を進める。

 具体的には(1)市南西部94の市立公園・市民総合体育館・ふれあい下水道館など複数の公共施設の指定管理(2)公園施設の管理・運営を民間に任せる公募設置管理制度(Park-PFI)による鷹の台公園の整備(3)同制度による中央公園グラウンドの改修――を一括して民間事業者に委ねる。

 (1)の指定期間は2025年4月〜2037年3月の12年間。(2)(3)の認定有効期間は2027年4月の供用開始日から20年間。事業者には造園会社「日比谷アメニス」など公園設計や人工芝、体育施設運営、下水道管理を専門とする10社の合同体「こだいらパークコネクトグループ」が選定された。地域経済の活性化やコミュニティー創出の実行力を評価軸に据えたという。

 全国の公共施設で導入が相次ぐ指定管理制度は、財政負担の軽減や住民サービスの向上が期待される一方、自治体の運営意識の低下や収益性優先による公共性の低下、職員雇用の不安定性といった問題点が指摘されている。総務省の調査では2021年4月現在、指定管理を導入している公共施設約は全国で約77000件あるが、指定取り消しや業務停止の事例が年々増加している。

 小平市水と緑と公園課は「これだけ広域で、さらに体育館と下水道館など目的の異なる公共施設を一括で指定管理の対象施設とする事業は全国でも例がない。事業者には地域住民のニーズを具体化するコーディネーター役の人員を配置してもらい、市側も定期的なモニタリングを通じて公民の連携をしっかり図っていきたい」と話している。

社会実験イベント「公園で何がしたい?」投票(2022年、小平市提供)
子育て世代向け市民ワークショップ(2022年、小平市提供)

【参考情報】
・鷹の台公園整備基本計画を策定しました(小平市
・鷹の台公園整備に向けた取組について(小平市

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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