「過去の人々は気候変動にいかに対峙したのか?―日本列島と大陸の人々の交流に着目して」と題した歴史講座が6月28日、東京都小平市小川町の朝鮮大学校で開かれる。弥生時代(紀元前8~7世紀から紀元2~3世紀)以降の日本列島の人々の気候適応へのあり方について、大陸の人々との交流を軸にたどり、そこから導かれる未来への教訓を考える。中塚武・名古屋大環境学研究科教授が講演する。中塚教授は、樹木の年輪を分析し、過去2600年間の夏の降水量変動を年単位で復元、気候変動のメカニズムを解明する研究を続けている。歴史学者や考古学者らと協力して、過去の人々の歴史適応のあり方から学ぶ取り組みだ。

 「気候変動から読みなおす日本史」(臨川書店、全6巻)、「気候適応の日本史 人新世をのりこえる視点」(吉川弘文館)などの著書がある中塚教授は、朝鮮半島の人々が九州などに移り住んできた理由として、気候変動による凶作で、朝鮮半島の人々が窮地に陥ったことと関係があるとみる。

 朝鮮大学校は、1956年に創立され、59年に現在地に移転。キャンパス内の歴史博物館には、朝鮮半島の古墳内に描かれた壁画の模写など600点が展示されている。

 「学術文化交流の架け橋に」と2011年、朝鮮問題研究センターを設けた。金哲秀(キム・チョルス)センター長は、「中塚教授は、古代の日本列島と大陸、日本と朝鮮の関係史を気候変動から読み解く最先端研究の第一人者。気候変動が、日本列島と大陸の人々の交流にどのように影響したのかなどが、解き明かされる」と話す。講演後の午後4時から5時まで、同博物館も見学できる。

 朝鮮大学校講堂で午後2時~4時。参加費1000円(学生無料)。住所、氏名、職業(所属)、電話番号、メールアドレスを書いて、メール(ku c ks1105@gmail.com)、またはファクス(042・346・0405)で事前に申し込む。後日(7月1日午後2時~8月1日午後2時)オンライン視聴(学生含め1000円)も。オンライン視聴の申込は、https://kucks-rekishi-2025-1.peatix.comから。 問い合わせは、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター(042・346・0414)へ。

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By 吉井亨

元新聞記者 東京、北海道、九州のほか、群馬を除く関東5県などで取材。卒業後は日本語教師も。

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