2024年7月7日、七夕に行われた東京都知事選挙は小池百合子氏が現職の強みを発揮し3選を果たした。はなこタイムスでは北多摩5市に特化した立場から、投票傾向などを分析したい。(カバー写真:今回話題となった掲示板ジャック。23区ほど多くはないが、北多摩5市の何地点かにも登場した。写真は小平駅南口の掲示板)

 まずは投票率を見ていこう。前回は55.0%だったが今回は60.6%5ポイント以上増加し、関心の高さがうかがえる。区部では60.4%、市部では61.0%と、市部の方がやや高かった。投票率が一番高かったのは利島村で、島しょ部以外では文京区の4位が最高だった。

 北多摩5市に目を移そう。東京都全体に占める5市の投票者は5.5%。投票率で東京都の数字を上回ったのが清瀬市、小平市、西東京市の3市で、東久留米市と東村山市は下回った。西東京市が最も高い62.5%(都全体の25位)で、都全体よりも2ポイント近く上回った。清瀬市は都の数字は上回ったが、市部だけの数字を下回っていた。

 次に各候補の得票率を見よう。史上最多の56人が立候補したが、小池百合子氏、石丸伸二氏、蓮舫氏の上位3人で全体の85.9%の得票を得る結果になった(5市では87.2%)。本稿ではこの上位3人のみに絞って見ていくことにする。

 当選した小池氏は、北多摩5市での得票率が44.4%と、都全体よりも1.6ポイント高かった。3位だった蓮舫氏も全体よりも1.3ポイント高い得票を得ていた。それに対し、2位の石丸氏は全体よりも2.0ポイント減らしていて、この地域での浸透度が低かったことがわかる。

 小池氏が高い得票率を得たのが清瀬市と東村山市で、最も低いのが西東京市だった。石丸氏は小池氏とは反対に、最も高いのが西東京市、最も低いのが清瀬市だった。蓮舫氏は最も高いのが清瀬市で、最も低いのが小平市という結果になった。

 小池氏については自民党・公明党の支持者、蓮舫氏については立憲民主党・共産党の支持者、石丸氏についてはいわゆる無党派層の動向が、この結果の違いに結びついたと考えられ、各市の違いは興味深い。

 多摩地域の住民の関心事の一つに「多摩格差の是正」がある。今回小池氏は選挙公報の中で「多摩地域の給食費補助や医療費助成にも使える『市町村総合交付金』のさらなる充実」を謳っていた。石丸氏は「多摩格差の是正」という項目を設け、「基礎的な行政サービスの充足を促す。各自治体の特色を強化するために、ハード・ソフトに投資する」とした。蓮舫氏は「多摩地域の一部に導入されていない学校給食の無償化を実現します」と書くにとどまった。多摩格差の是正に取組む姿勢には温度差があったようにも思える。

 次の4年間、少子高齢化の波がさらに高くなると予想され、医療や環境、教育などの問題も山積している。小池都知事のかじ取りを注視したい。

図3 5市別全候補の得票など

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By 高橋靖

東久留米市のコミュニティFM局「TOKYO854くるめラ」代表取締役。

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