結核療養施設が集中し「聖地」ともいわれた清瀬市のけやきホールで11月28日、「清瀬結核サミット」が開かれた。清瀬市、公益法人結核予防会、日本ビーシージー製造株式会社が主催し、清瀬と結核の関わりの歴史を振り返り、今も続く結核の危険性を訴える催しで、結核予防会総裁を務める秋篠宮妃紀子さまも出席された。
渋谷桂司清瀬市長が「清瀬の地で行われてきた結核との闘いの取り組みについて国内外に発信し、後世に引き継ぐ」とあいさつ。続いて清瀬と結核の歴史を説明するスライド上映や講演が行われた。また、結核から回復した2人が治療体験を生々しく語り、JICA国際研究員として清瀬で研修するリベリアとタイの医療関係者はそれぞれ母国の結核事情を説明した。
結核予防会の尾身茂理事長は「結核、コロナどちらが怖いのか」と題した特別講演を行い、パンデミックが繰り返される背景を人類史や生態学の観点から説明。「コロナは短期間の感染爆発だが、結核は全世界で長期にわたるパンデミックだ。決して過去の病気ではなく、今も世界で年に100万人以上が死亡するナンバーワンキラーだ。日本ではり患率が下がってきてはいるが、欧米などに比べれば高い。制圧が困難で少し油断すれば上昇してしまう」と警鐘を鳴らした。
「清瀬結核アンバサダー」として清瀬と結核との関りや歴史についての講座を受けた市内の中高校生13人が「学んだことは驚きの連続だった」「得た知識と気付きを将来の医療現場に役立ててゆくのが目標」「清瀬で作られたビーシージーワクチンが世界30カ国に送られ、子どもたちを守っていると知りすごいと思った」などと報告した。
最後に渋谷市長が「結核は現在でも世界の3大感染症の1つで、日本でも1万人を超える新たな患者が出ている病気だ。清瀬が結核との戦いで培ってきた医療、福祉、社会復帰の歴史は後世に引き継ぐべき多くの経験と教訓を含んでいる。今後も起こり得る新しい感染症対策にも生かされると思われる。今後国内外の関係機関、自治体が連携協力し後世に引き継いでいくことを望む」と清瀬結核サミット宣言を読み上げた。


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