多摩地域の高校生・大学生26人が「平和ユース」として広島市を訪問するなどして原爆被爆体験と平和の意味を学んだ成果を伝える「戦後80年平和サミット」が2月15日、多摩市のパルテノン多摩で開かれた。各グループの報告と多摩26市の市長とのトークセッションのほか、広島出身で被爆体験の家族伝承者として活動する元NHKアナウンサー杉浦圭子さんの講演や松井一實広島市長の講評などが行われ、平和の大切さと実現への課題をあらためて考える場となった。
杉浦さんは2025年に93歳で亡くなった父親が被爆者であることをきっかけに伝承活動を続け、今回の「平和ユース」の学びをサポートした。講演では当時の写真や地図を示しながら被爆者の詩や手紙を朗読しつつ惨状を再現した。またNHK入局間もないころの被爆関連番組で、用意された原稿をそのまま読むことで視聴者から厳しい指摘を受けたエピソードを紹介しながら自分の言葉で語ることの難しさ大切さを訴えた。「広島、長崎は決して過去の話ではない」にもかかわらず非核三原則の見直しや核兵器安上がり論などが軽々しく語られる現状に危機感を示した。


「平和ユース」の活動報告では「被爆の記憶」「教育」「人権」「スポーツ」という4つのテーマを切り口に広島で聴いた被爆者の体験談を踏まえつつ平和の意味を深堀りした。その中には朝鮮半島出身者の強制連行や毒物兵器の人体実験など日本による戦争加害の側面にも光を当てて「学校教育で学ぶ機会が不十分な加害の側面も私たち若い世代が主体となって発信し続けることが必要だ」との報告もあった。トークセッションでは平和ユースの報告を受けてメンバーと各市長との間でやりとりが交わされ、若者からは「幅広い世代で共に考える場を作ってほしい」などとの要望が出た。
松井市長は「きょうの議論を聞き心強く感じた。平和とは戦争がない状態だけではなく、一人一人が尊厳を保たれながら人間らしい生活ができることが大事だ。さまざまな価値観がある中で理性をもってバランスを取る方法を追求してほしい」と話した。
最後に、主催した「平和首長会議東京都多摩地域平和ネットワーク」の濱崎真也会長(国立市長)が「戦禍や被爆の実相を共有・継承し平和文化の担い手を育成していく」との平和宣言を読み上げた。
平和首長会議は核兵器廃絶、恒久平和実現のために1982年、広島市、長崎市が世界に呼び掛け、賛同する都市で結成された。現在、世界の8563都市が、国内ではほぼ全自治体にあたる1740市町村が加盟している。多摩地域平和ネットワークは首長会会長の松井市長の要請を受けて結成され、初の大規模な取り組みとしてこの日の集まりが実現した、今後の取り組みについて濱崎会長は「きょう出されたさまざまな意見、提案を各市それぞれとネットワーク全体でしっかりと受け止めて一過性にせず、特に若い世代に広げていきたい」と述べた。


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