ハンセン病回復者として差別や苦難と闘いながら絵画や編み物などに豊かな才能を発揮した加藤博子さんの作品を展示中の東村山市青葉町、国立ハンセン病資料館で5月17日、加藤さんの人生と作品を紹介する講演会が開かれ、約80人が熱心に耳を傾けた。
加藤さんは1943年愛知県に生まれ、2025年12月、82歳で死去した。ハンセン病の診断を受け、12歳で静岡県の駿河療養所に入所、その後岡山県の長島愛生園にある邑久(おく)高校新良田(にいらだ)教室に進学して好きな油絵に熱中し美術展にも入選を重ねた。
その頃描いた自画像では鋭いまなざしが印象的、風景画では自らの運命への抗いや寂しさを投影したような特徴が見て取れる。
1964年入所者仲間で朝鮮半島にルーツを持つ加藤健さんと結婚、社会復帰を目指して絵画を一時あきらめ、編み物の腕を磨いた。絵画で培われた色彩などのセンスを生かした作品はファッション雑誌やファッションショーで紹介された一方、障害のある自分の足に合わせた靴下や夫のために編んだセーターなどに苦難と愛情が表現されている。
この日の講演を担当した吉國元・同資料館学芸員は加藤さんの人生をたどりながら隔離化での苦難、社会的差別と闘う中で残した絵画のほか、編み物、短歌、随筆など多彩な作品を解説していった。また、個人的な交流のエピソードを通じて感じた人柄やジェンダーを含めた社会に対する鋭い視点も紹介した。
加藤さんは生前自分の作品ができるだけ展示されることを希望したという。吉國学芸員は「今後もどのような形で展示できるかを検討したい」と話した。
![]()



