小平市の社会福祉法人「ときわ会」が運営する障害者福祉施設で利用者らが職員から虐待を受けていた問題で、虐待の被害者家族と虐待の事実を市に内部通報した元職員ら4人が12月12日、小平市議会全員協議会室で市議21人に虐待の詳細な実態を報告し、所轄庁の小平市が厳正な対応をとるよう訴えた。
通所事業所やグループホームなど13施設を運営するこの法人では昨年10月、役員ら複数の職員による知的障害者らに対する暴行や暴言、ネグレクトなどの虐待が長期間続いていたことが報道や関係者の証言で表面化した。
法人が設置した第三者委員会が今年1月公表した調査報告書では、2020年から23年にかけて特定の利用者を「後ろ手にひねり上げる」「後頭部を床に打ちつけて押さえつけた」といった職員による虐待が昨年9月と12月に認定された。
また別の利用者に対しては「行動を抑制するため睾丸を握る行為を複数回行っていた」「頭をげんこつで叩いた」などの職員による虐待が昨年12月に認定された。第三者委は虐待の背景に「多くの不適切な支援があることが確認できた」として同法人に運営体制、支援体制の見直しを求めた。
今回、被害者側は市議らへの資料として、2017年から2024年までの虐待の日時・場所・内容・通報・市や法人の対応などを詳細に記した一覧表(A4で10ページ)と、市長や担当課長に虐待の事実と行政による対応を求めた手紙計4通のコピーを提示した。
「睾丸を握る」などの虐待が認定された、知的障害のある男性利用者の父親は虐待の事実を知った昨年5月以降、法人側に真相究明を求めるとともに小平署に被害届を提出。「隠蔽や虚偽報告をした法人の幹部らが理事を解任されるだけなど、人事のあり方を見ても組織ぐるみの隠蔽体質は改善されていない。所轄庁の小平市が障害者虐待防止法違反に基づく厳正な対応を取るよう市議会からも働きかけてほしい」と訴えた。
虐待の疑いを利用者家族に伝え、市に通報した職員は今年3月、「就業規則に違反している」として懲戒解雇された。職員は「解雇は公益通報者保護法に違反する」として法人に地位確認などを求めて東京地裁立川支部に提訴。「(法人では)内部通報した複数の職員が退職に追いやられるなど現在、不正を知っても通報できない状態にある。市長にも手紙で訴えたが、何一つ改善されていない。ここまで放置した行政の責任は大きい」と指摘した。