健康被害の恐れが指摘されるPFAS(有機フッ素化合物)汚染問題をめぐり、小平市は11月29日の市議会定例会で、PFASを保管・使用する在日米軍基地への立ち入り調査などを国と東京都に求めるための協議への参加を多摩地域の自治体に呼びかけ、計17市で話し合いを始めたことを明らかにした。

 PFASは泡消火剤、金属メッキ処理剤、半導体の製造などに広く使用されてきたが、そのうち発がん性が指摘されるPFOSなど3種類は国内での使用・製造は原則禁止されている。全国各地で汚染が報告され、特に泡消火剤を使う米軍基地周辺の河川や土壌から高濃度のPFASが検出されている。

 10月3日、米軍横田基地の貯水池からPFASの成分を含む大量の水が8月30日の豪雨で基地の施設外に流出した可能性が高いことが米軍から防衛省を通じた都などへの連絡で明らかにされた。米軍がPFASの基地外流出を認め、通報したのは初めてだった。

 都と基地周辺6市町でつくる連絡協議会は防衛省に対して国の責任で影響調査を実施するよう要請したが、国は米軍に基地への立ち入り調査を求める要請をしていない。

 小平市議会は6月の定例会で、在日米軍基地や民間事業者の施設・工場の立ち入りを含む調査を都内25市と連携して国と都に働きかけるよう求める請願を全会一致で採択した。

 11月29日の市議会で、PFAS問題をめぐる鈴木だいち市議(共産)の質問に対して、小林洋子市長は国と都に立ち入り調査を要望するための協議への参加を8月に多摩地域の自治体に呼びかけ、うち16市が参加の意向を示したことを明らかにした。

 11月6日に小平市を含む17市で第1回目の話し合いを実施。小平市から提示した要望書案に対する意見や修正案を各市に示してもらい、協議のうえ今年度中に要望書を提出したいとしている。

 ただし、現段階では要望書の内容が明確になっていないため、内容によっては途中で不参加となる自治体が出る可能性もあり、最終的に17市で要望できるかどうかはわからない、という。

【参考情報】
・多摩地域のPFAS汚染から命と健康を守る連絡会(公式

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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