世界最大級のプラネタリウムや参加体験型展示などで、楽しみながら科学を学べる場として親しまれている多摩六都科学館(西東京市芝久保町5)が開館から30周年を迎え、3月2日に記念式典が開催された。同館を共同設置・運営する小平・東村山・清瀬・東久留米・西東京の各市長や議員、同館サポーター、ボランティアの代表ら約140人が出席。30周年の感謝と科学技術の魅力をさらに発信していく決意を示した。(カバー写真:関係者による「くすだま」開花で盛り上がる)
同館は1994(平成6)年3月1日に開館し、令和6年2月29日までに481万9987人が来館した。同館サイエンスエッグ(プラネタリウムドーム)で開催された式典では、髙柳雄一館長が「科学と地域の結びつきを深く広めることができた。これもご臨席の皆様、地域の皆様の熱いご支援の賜物。この30年の活動で得た教訓を生かし、これから新たなる出発をする節目にしたい」と開会のあいさつ。
多摩六都科学館組合管理者でもある池澤隆史・西東京市長は「身近に科学を感じることができる施設として、今では地域になくてはならない存在。今後も多様な学びの場を作ることで地域の文化振興に寄与していきたい」などと話した。
全国科学館連携協議会の毛利衛会長からはお祝いのメッセージも届き、「全国の科学館やプラネタリウム施設の先導的な役割を果たされてきました。これからも次世代を担う多くの人材が育成されていくことと思います」などと披露された。
お祝いの言葉では、同館に幼いころから通い、サポーター(賛助会員)になっている東村山市の中学3年生、岩本正弘さんが登壇。「スタッフの方のお話や接し方が素敵で、いつもまた来たいと思います。コロナ禍でもオンラインイベントなどで途切れることなくつながりを持てたのは私の宝物。開館から30年、私は半分の15歳ですが、科学館の発展に負けず成長していけるよう努力していきます」とすがすがしいスピーチに大きな拍手。
さらに関係者によるくすだま開花のセレモニーが続き、多摩六都科学館組合副管理者の渡部尚・東村山市長が「5市の力を合わせて、さらに地域の子供たちに夢や希望、Do Science!、科学することの楽しさを伝えていけるように」と決意を述べた。
その後、開館15周年の2009(平成21)年3月に募集した、15年後の自分あてや、地球への願いなどを書いたメッセージの「タイムカプセル」を開封。メッセージはドームのスクリーンに次々と映し出され、サッカーやプロ野球の選手、アイドル、ケーキ屋さん、花屋さん、薬剤師、トリマーなどなりたい職業や、科学館らしく宇宙での旅行や生活への期待、温暖化など地球環境にまつわるものも。この日紹介されたのは一部だが、3月23日から同館で行われる特別展示「多摩六都科学館30周年ヒストリー」(5月6日まで)では、全577通が展示される。
式典の最後はプラネタリウム特別投影「30年の星空」。ドームに広がった満天の星と生解説に出席者は癒された。
式典に出席したサポーターの田中克敏さんは、埼玉県新座市から通う、同館の「ヘビーユーザー」。科学好きで「東京でこれだけの規模の施設はなく、イベントも充実している。サポーターやボランティアさんも協力して、5市で末永く続けてほしい」とエールを送った。同館のボランティアでアルバイト経験もある西東京市の大学4年生、井桁幸輝さんは「ここのプラネタリウムで星が好きになった。地域に根付いた科学館だからこそリピーターが多く、スタッフとのコミュニケーションもとりやすく、愛着がわきます。これからも通いたい」と話していた。
【関連事項】
・多摩六都科学館(HP)