小平市議会は6月定例会最終日の6月28日、いじめ重大事態の調査報告書は第三者が原案から文章を作成するよう求めた請願を全会一致で採択した。小平市では原案の文章を調査対象になりうる教育委員会が作成しており、公正性・中立性に疑義が呈されていた。

 請願したのは、いじめ重大事態の被害者家族。請願書によると、これまで市と市教委に対し、調査報告書の原案の文章を市教委いじめ問題対策委員会などの第三者委員会や弁護士など第三者が作成するよう嘆願書などで求めてきたが、対応は変わらなかった。

 「調査対象になりうる市教委が原案の文章を作ることはあり得ない」との専門家の指摘を受けて、他の多摩25市に問い合わせたところ、小平市のように被害者家族の要望に反して市教委が作成している市はなかった。

 また2022年3月の調査報告書は市教委に「各学校でのいじめ問題を指導・助言する機会を定期的に設けること」「いじめ問題への知識を更新し、理解を深めるための研さんを積む機会を月に1回程度は実施すること」などの改善策を提言したが、市教委は「研さんを積む機会を定期的には実施していないが、日常業務の中で研さんに励んでいる」(2024年3月定例会の教育長答弁)などとして十分に対応していなかった。

 採択された請願は(1)調査報告書は第三者が原案から文章を作成するために実施時期、予算、作成方法などの検討を早急に開始する(2)調査報告書の提言を実施するための計画を立てて、実施状況を半年ごとに市教委の定例会に報告する(3)(文部科学省のガイドラインに沿って)原則として、いじめ被害者やその保護者の意向に応じて調査報告書を公表する――の3点を求めている。

 小平市が現在対応中のいじめ重大事態は計4件。調査報告書の作成について、市側は2023年9月定例会で安竹洋平議員の質問に対し、「報告書はいじめ問題対策委員会で協議、決定しており、教育委員会事務局はその作成を補佐する立場」「会議録は教育委員会事務局で作成している」と答弁している。

【参考情報】
・小平市立学校のいじめ申立てに関する調査報告書の公表について(小平市

小平市議会(議会中継の動画映像より)

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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