ひばりヶ丘駅北口の「ノーブルビルクリニック」(橋岡孝之介院長)が昨年12月末で閉院していた。同院のホームページはなく、SNSも利用していないようなので、正式な発表は入口のシャッターに貼られた院長名での「閉院のお知らせ」のみ。唐突という感じは否めない。
このクリニックは駅から徒歩1分弱、駅前ロータリーから新座方面に伸びる大きな道に面している。ドクター1人の小さな医院だったが、ひばりが丘の地で30年を超える歴史があった。
北口の再開発にともなって現在の場所に移転したが、もともとは、現在の場所の向かいあたり、小さな路地に位置していた。入口は2階で、傾斜のきつい階段があったため、高齢者には移転は好ましいものだった。内科だけでなく、外科、皮膚科、かつては整形外科もあり、利用者としては利便性が高い〝町医者〟さんだった。
回り番らしい西東京市の日曜日の診療担当医を引き受けていたこともあったと記憶している。また、コロナ禍の時期には1人で「発熱外来」を開いていて、スタッフも含めこのクリニックの地域医療に対する心意気を感じた。
あまり話さない院長だが、質問すると疑問にはきちんと答えてくれた。いつの間にかこの院長が主治医になっていた利用者も多いのではないだろうか。
閉院の理由はよくわからない。近隣の関係者や利用者の話によると、昨年は院長の体調不良で休診したことが何回かあり、年齢は不詳だが、引退ではないかと想像される。昨年11月下旬あたりから、定期的な診療を受けている患者には閉院する旨を告げ、紹介状を出していたこともあったらしい。しかし、新年になって閉院を知った患者も少なくなかっただろう。残念に思う人も多いはずだ。
患者と医師という関係のためか、医療機関はずっと面倒を診てくれるものと根拠なく思っているところがないだろうか。しかし医者も病気になるし歳もとる。個人経営の医院は、後継者がいない限りいつか終わる。この当たり前のことに気づかされた出来事だった。