小平市は2月5日発表した2025年度一般会計予算案で、新たに災害用トイレトラックや避難所向けのラップ式トイレなどを配備するなどして災害対応力を強化する方針を示した。能登半島地震で断水が長引き、トイレ不足が課題となった事態を受けた措置。
4月6日の小平市長選に出馬を表明した小林洋子市長は、2期目に向けて「防災・減災」「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」「女性・子育て支援」の3つを重点施策に打ち出した。
防災対策の新規事業として購入する災害用トイレトラック(いすゞエルフ、3.5トン)1台は、洋式簡易水洗トイレ4室、電動椅子リフター・おむつ交換台などを設けた多機能トイレ1室を備える。ソーラー発電(充電)システムを装備し、約950〜1300回使用できる。
大規模災害時、下水道の破損などによってトイレが使えない避難所で利用することを想定しているが、平時は市民まつりなどの屋外イベントで活用する。購入費約2655万円(税込み)の一部はクラウドファンディングで賄う。併せて一般社団法人「助け合いジャパン」による災害派遣トイレネットワークに加盟して、被災自治体にはトイレトラックを提供し、被災時には援助を受けることで効率的な支援活動を目指す。
このほか市内28カ所の避難所に、水を使わない「ラップ式トイレ」を1基ずつ2年間で配備するとともに、新たな災害医療支援病院にトリアージポスト(災害時などに治療の優先順位を決める場所)を導入する。
予算案ではこうした新規事業に約3494万円を計上。小林市長は「19万人の市民がいる小平市では人口密度から言っても災害時のトイレ需要は増している。それに対する備えとして導入に踏み切った」と述べた。
2025年度の予算規模は総額902億8600万円(対前年度比で8.8%増)で、8年連続で過去最大規模となった。歳入では定額減税終了による個人市民税の大幅増により、市税収入が6.3%増の20億400万円に。歳出では児童手当などの扶助費26億2246万円(同9.7%増)、小川駅西口地区再開発などによる普通建設事業15億8267万円(同18.2%増)などがそれぞれ高い伸びを示した。


関連情報:
・令和7年度予算(小平市)