西東京市は2月19日に発表した2025年度一般会計当初予算案で、市内の小・中学生から高校生世代の医療費の自己負担を撤廃し、今年10月から子どもの保険診療にかかる医療費を完全無償化する新規事業を打ち出した。25日開会の市議会定例会に提案する。
2月2日の市長選で再選を果たした池澤隆史市長は公約に「子どもがど真ん中ー子どもにやさしいまちづくり」を掲げてきた。
子どもの医療費助成について、西東京市はこれまで独自に所得制限を撤廃し、乳幼児などの未就学児は自己負担なし、義務教育就学児(小・中学生)、高校生世代は上限200円の自己負担で診療が受けられるよう取り組んできた。この自己負担をなくすための新規事業に約2687万円を計上し、0歳から18歳年度末までの医療費無償化を実現する。
高校生以下の子どもの医療費について所得制限や自己負担がない無償化は23区ではすでに実現しているが、多摩地域26市ではばらつきがある。日野市では23年10月から、東大和市や武蔵村山市では昨年10月から無償化を実現している。
池澤市長は「西東京市と隣接する練馬区でかかる子どもの医療費の違いについて市民から指摘されてきた。今後の市の財政状況や都の補助制度の枠組みが変わる可能性など、全体の情勢を見ながら今回の無償化を判断した」と述べた。
子どもの医療費助成のほか、学童クラブの過密化対策として柳沢小学校敷地内に定員を100人に拡充した学童クラブを26年1月に整備。学校で授業がない放課後などの時間帯に教室などを学童クラブとして一時利用する「タイムシェア」を25年度は4校拡充して7校で本格実施する。
また24年度から市立小・中学校給食を完全無償化するとともに食物アレルギーや宗教上の理由で給食を食べられない児童・生徒に補助金を支給してきたが、25年度から対象範囲を拡充し、不登校のため給食を食べられない子どもにも補助金を支給する。26市では初の事業となる。
2025年度の予算総額は886億6600万円で、過去最高額だった前年度に比べて10.3%増の過去最大規模になった。社会保障関係を含む民生費の約34億2600万円増、都市計画公園や都市計画道路の整備を含む土木費の約19億7200万円増などが予算規模を大きく押し上げた。
【関連資料】
・西東京市長記者会見 資料(令和7年2月19日実施分)