多言語通訳サービス「KOTOBAL」(小平市提供)

 小平市は4月14日、市役所の窓口に訪れた外国人や聴覚障害者らと円滑な意思疎通が図るためにAIによる多言語通訳サービス「KOTOBAL」3台を導入した。東京都の各施設ではすでに利用されているが、北多摩地域(近隣17市)では初の導入という。

 小平市には現在、6300人余りの外国人が住んでおり、年々増加傾向にある。国籍も中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ネパール、ミャンマーなどさまざまだ。日本語に不慣れな外国人の来庁者に対して市はこれまでスマホサイズの翻訳機などで個別に応じていたが、各課から「十分に対応できない」との声が上がっていた。

 今回導入したシステムは、タブレットで翻訳する言語を選ぶと、来庁者や職員が話した言葉をAIが音声認識し、翻訳した文章が窓口に設置した透明なディスプレー上に表示される。相手の表情や仕草を見ながら会話でき、翻訳文と同時にその和訳も表示されるため正確に訳されているかどうかを確認できる。日本語、英語、中国語、韓国語など計32の言語に対応する。

 通訳だけでなく、窓口職員の発言を文字に表示する音声筆談の機能によって聴覚障害者や耳の不自由な高齢者とのコミュニケーションもスムーズにできるという。

 3台は総合受付(市役所1階)と障がい者支援課(健康福祉事務センター1階)、各課の窓口貸し出し用として市民協働・男女参画推進課(市役所1階)にそれぞれ導入。費用159万円の3分の2は都からの補助金を活用した。

 市民協働・男女参画推進課の担当者は「翻訳はほぼリアルタイムで正確でもあるので、普通に会話するようにコミュニケーションができる。今後、サービスの使用頻度などを集計・分析し、需要に応じて台数を増やしていくことを検討したい」と話している。

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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