任期満了に伴う小平市長選挙は2025年4月6日に投開票が行われ、現職の小林洋子氏が次点の松岡あつし氏に1万1千票あまりの差をつけて当選した。宮川氏は出馬表明の遅れも響いてか3位となった。投票総数に対する得票率は小林氏が過半数を占め、現職が信任された形になった。
届出番号 | 候補者名(党派名) | 得票数 | 得票率 (投票総数に対して) |
---|---|---|---|
1 | 松岡 あつし(無所属) | 22,162票 | 36.2% |
2 | 小林 洋子(無所属) | 33,677票 | 55.0% |
3 | 宮川 かずゆき(無所属) | 4,873票 | 8.0% |
投票率は38.68%と直近5回で比較すると3番目、ちょうど真ん中の数字となった。2000年代に入って、各回とも40%前後の数字になっていて、その意味では安定していると言えるだろう。とはいえ、低空飛行している感は否めない。

今回の市長選は現職の小林市長に対して、2期連続して市議会議長を務めた松岡氏が挑む図式となった。前回の市長選で小林氏は立憲民主党・日本共産党・国民民主党・生活者ネットワークの推薦で出馬、一方前回の市議選で松岡氏は自民党公認で出馬した。
しかしながら今回、松岡氏が早くから市長選に出馬する構えを見せていたものの自民党は公認・推薦をしない方針を決め、代わりに小林氏の応援をするとした。党は松岡氏に対して離党申請しなければ除名申請すると伝え、松岡氏は自民を離れて選挙を戦うという異例の展開となった。
小林氏応援を決めた自民党の方針については会議で僅差により決定したという。党内には小林正則前市長時代から20年に及ぶ野党の状態への不満があり、自分たちの政策を実現するには現市長に乗ることが得策という考え方があった。また自民党の支持率低迷も背景にはあるだろう。松岡氏が自民党内をまとめきれなかったのだという関係者の声も聞いた。
このねじれた状態の中、松岡氏はネット選挙に活路を見出したように見えた。YouTubeなどで活躍し、NHKから国民を守る党(N党)より出馬したことがあるさとうさおり氏と2ショットのポスターを作成し、街頭演説やネット配信を行った。またX(旧ツイッター)やFacebookなどSNSを活用、中央公民館などを建て替える費用が44億円から104億円に膨んだことなどを批判し、小林市政に対して攻めの姿勢で臨んだ。
しかしながらその内容は「常識」の抑制が効いたものであり、N党などの違法すれすれといったものに比べるとインパクトに欠けるきらいがあった。良くも悪くも「バズった」状態になることはなかった。

4月16日、小平市から年齢別の投票率が発表された。これを見ると、やはり若年層の投票率が低いことがわかる。10代から50歳未満までの年代で平均投票率よりも低く、50歳以上の年代で平均よりも高い(80代以上を除く)ことがわかる。
もし若者の行動を呼び起こすことができれば松岡氏にもチャンスはあったと思われるが、松岡氏のネット戦略は不発に終わったと言わざるを得ない。松岡氏らの投稿はSNS上では盛り上がりを見せており、松岡氏本人も手応えを感じていたという。そこでこの票差ということは、ネットの影響力も小平ではまだまだと見るべきなのかもしれない。
一方の小林陣営も自民党の応援を受けることに関して決して一枚岩ではなかった。しかし多数の政党市議らの支援を受けて万全の選挙戦を戦い、勝利に結びつけた。低投票率下での組織の力を見せつけた格好だ。
以下、コミュニティFM局TOKYO854くるめラで放送した開票速報特番より、当落確定直後の小林、松岡両氏のインタビューから抜粋を収録する。なお宮川氏のインタビューは行われておらず掲載できないことをご了承いただきたい。
◾️小林洋子氏
――今回の選挙戦はいかがでしたでしょうか 。
はい。対SNSというところがですね、ちょっと未知の世界で非常に苦労しました。
――小林市長もSNS発信を増やして頑張っていた印象です。
後半に行くにつれどんどん増やして発信しましたが、相手の主張を否定するとか潰していくみたいなやり方ではなかったんです。
相手の陣営の言葉を鵜呑みにしている方からすると、なんで反論しないんだと言われることもありました。
私としては、相手の人たちをディスりたくはない。そこの温度差は、私にはちょっと難しかったですね。
――有権者の方、リスナーさんにメッセージお願いします。
私の2期目にご信頼を寄せていただいてありがとうございます。全力で小平の皆様が笑顔になれる街を作ってまいります。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
◾️松岡あつし氏
――結果について、どういう受け止めをされていますか。
残念ながら結果が出なかったので、非常に残念です。支持者の方も今ちょっと目の前で泣いていて、申し訳ないなと。
――今回、SNSをかなり多用していましたが、手応えはいかがでしょうか。
手応えはありました。でも結果が及ばなかったんで、そういうものなのかなと思っています。事前には、勝つにしろ負けるにしろ、もう少し差が縮まっている感覚でした。
――今回、政党の応援を受けずに選挙戦を戦いました。
活動自体は、皆さんほんとによくやっていただいたと思います。私が聞いた話では、政党の指示がいろいろ交錯したので棄権された方もいるのかなと。10人に1人くらいは、「今回はわからないから投票しない」という人もいました。
――今後の活動はどのようにお考えですか。
まさに白紙の状態ですが、この2万2000の(票を)頂いた方たちの気持ちを受け止めるしかないかなと思います。
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