東村山市立中央公民館(東村山市本町)で開かれている「ハンセン病問題を知る企画」展で4月5日、国立重監房資料館の黒尾和久部長が講演し、ハンセン病療養所・多磨全生園(東村山市青葉町)内にある宗教施設などが保存・修復の対象として厚労省のリストに載ることが決まったと報告した。
厚労省は全国に13あるハンセン病の国立療養所に残る歴史的建造物や史跡の保存に取り組み、第1号として群馬県草津町の栗生楽泉園にあったハンセン病患者を対象とした懲罰施設の重監房を復元した資料館を2014年に建設した。
その後、どんな施設を保存するかについて「歴史的建造物の保存等検討会」を立ち上げ、第13回となる会議で2026年3月16日、全国で6療養所、48件の施設などをリストに載せることが決まった。
黒尾部長は検討会の構成メンバー。この日の講演で多磨全生園内の施設を中心に検討結果を報告した。これまでに旧図書館、築山、少年少女舎、旧山吹舎の4件がリストアップされていたが、保留となっていた永代神社、納骨堂、カトリック教会、日蓮宗会堂などの宗教施設のほか、土塁、堀、ヒイラギの垣根の計12件が追加でリストに載った。
例えば宗教施設は政教分離の原則が壁になっていたが、国の財産に登録されれば保存リストに載る道筋がついたことになる。黒田部長は「療養所の患者にとって宗教施設は重要な意味があり、保存の道が開かれたことは大きな前進」とした。また建築物が残っていなくても、跡地、遺構、植物がリストに載ることも全国の施設にとって意義深いと説明した。
保存に向けての具体的措置は今後さまざまな議論を経なければならないが、黒尾部長は「少なくともこれ以上貴重な遺産を劣化させず、国の責任で保全に取り組むと明言したことは大きい」と述べた。

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