神山バッティングセンターのバッターボックス

 東久留米市にある神山バッティングセンターが、9月30日で閉店した。2024年5月に、「臨時休業中」から営業再開したことを当サイトでレポートしたが、やはり継続していくのは難しかったようだ。

 今年の春、次のような貼り紙が出された。

《2026年9月30日(水)21時を以って閉店する運びとなりました。

 この度、建物・設備の老朽化に伴い、協議の結果、残念ではございますが、閉店の決断に至りました。》

 ということである。2年前も従業員の方は「マシンを修理するのはかなり費用がかかり、営業を続けるのは相当覚悟のいること」と語っていたが、苦渋の決断をしたのだろう。

 1973年創業、約53年の歴史だという。つまりジャイアンツのV9最後の年にオープンし、それからずっとこの地区の野球愛好者の〝友〟だったわけだ。利用者は東久留米市をはじめ、清瀬市、西東京市、新座市、練馬区など広範囲にわたっていた。それはメンバー募集のポスターやホームラン賞の名札を見るとわかった。

 ここからプロ野球選手を輩出したかは不明だが、バッティング教室も実施されていたようだし、親子で練習に励む姿も多かった。また、高齢者野球の募集のポスターもあり、幅広い年代が利用していたことがわかる。

 最後の休日の営業日となった9月27日(日)、〝打ちおさめ〟に来ていた60歳代後半という利用者に話を聞いた。「ここのおかげで、いままで草野球の現役を続けてきたが、これからはどうなるかわからない」と寂しそうに語っていた。

 この施設に半世紀以上の歴史があったことを貼り紙で初めて知った人は多いと思う。まちの知られざる〝名物〟は静かに幕を下ろした。

※東久留米市にバッティングセンターはなくなったが、清瀬市には「バッティングセンター アスカ」がある。

※西東京市には「ユーナンバッティングセンター」がある。

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By 杉山尚次

1958年生まれ。翌年から東久留米市在住。編集者。図書出版・言視舎代表。ひばりタイムスで2020年10月から2023年12月まで「書物でめぐる武蔵野」連載。著書に『西武池袋線でよかったね 郊外から東京を読み直す』(交通新聞社新書)等がある。

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