辰(龍)年の2024(令和6)年、年初から西東京市田無町の田無神社が大人気だ。龍神を祀っていることから縁起がいいと全国から参拝者が駆けつけている。同神社の賀陽(かや)智之宮司に今年の参拝事情と、正しい参拝作法を聞いた。(カバー写真:田無神社境内の宮司)

 今年正月、青梅街道沿いの田無神社敷地を取り巻くように参拝者の長蛇の列ができ、「お参りまで2時間半並んだ」という人も。新年もあっという間に2月半ばになったが、今も週末は境内に人があふれている。

 「正月から2月までの参拝者は例年の3倍以上で、これまでにないことです」と賀陽(かや)宮司も想定外の状況。前回の辰年は、東日本大震災の翌年で自粛ムードに加え、「当時は田無神社の知名度が低かった」こともあり、例年と変わらなかったという。

 田無神社は、主祭神に級津彦命(しなつひこのみこと)と級戸辺命(しなとべのみこと)を龍神として祀っている。本殿に二柱を金龍として、境内各所に黒龍、白龍、赤龍、青龍を配祀し五龍神として信仰している。「辰年なので龍神様にご利益をいただこうと縁起を担がれての参拝。北は北海道、南は沖縄の方が三が日から来られて御祈祷をあげ、三が日明けからは、元日の震災で被災地となった北陸からも来られています」

 辰年での参拝人気に加え、「コロナ禍が終わって初めてのお正月でもあり、もっといえば日本の置かれている状況もかかわっていると思います。混沌とした世の中、震災もあり、政治の問題、経済も不安定で、神様にすがりたいという思いがより高まっているのかもしれません」と話す。

 こうした状況に「混雑で地域の方も参拝しづらくなっており、申し訳なく思っています。皆さんがすがすがしい気持ちでお参りできるよう、職員一同できる限りの努力をします」としたうえで、「遠方、インバウンドで外国人の参拝者もいるので、経済効果など地域の振興や魅力をアピールする機会にもなればうれしいです」と配慮もする。

 この一年が少しでも良い年になるよう、お参りの作法を聞いてみると―。

 「当たり前のことですが、正面の一の鳥居をくぐって進み、手水で手と口を清め、まず本殿のご祭神、続いて境内にある摂社・龍神にお参りいただくのが基本。参拝せず、おみくじやお守り、御朱印を買われて帰る方もいますが、本殿にごあいさついただいてから受けていただきたいです。ゆったりした気持ちでお参りすることも大切。混雑する休日を避け、平日の早朝や夕方にご参拝されてはいかがでしょう」

 ちなみに、毎月1日に参拝する「月参り」という習慣もあるが、参拝の頻度は「年に1回でも何回でも、ご自分のペースで大丈夫です」とも。

 田無神社の人気はメディアの影響も大きい。近年、「パワースポット」として取り上げられることも多く、昨年末からだけでも10以上のテレビ番組、20以上の雑誌から取材があったという。「それをきっかけに私たちのSNSやホームページを通して神社の魅力が浸透してきているのでは」と手応えを感じている。

 最後に辰年への向き合い方を聞いた。

 「辰年は変革、激動の年といわれますが、時代の変化に振り回されず過ごすことが大切。(そのよりどころになる)田無神社は『開かれた神社』として変わらずここにありますので、いつでもお参りください」

元日の田無神社

By 倉野武

1961年、東京生まれ。20年前から西東京市在住。新聞社で30年以上の取材経験があり、近年は地域への関心を高めている。趣味は西東京市のいこいの森公園でのランニング。

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