水環境問題に取り組む個人や団体に贈られる第26回日本水大賞が3月15日発表され、災害時の生活用水確保に向けて井戸の調査と普及を進めている小平市のNPO法人「小平井戸の会」(金子尚史理事長)が「市民活動賞」を受賞した。「他の地域への先例になってほしい」と評価された。(カバー写真:小平井戸の会が毎年続けている井戸の実態調査)
1998年に創設された日本水大賞は日本水大賞委員会 (秋篠宮殿下名誉総裁、毛利衛委員長)と国土交通省が主催し、国内で水循環の健全化に寄与する個人や市民団体、学校、企業などに大賞のほか各大臣賞、市民活動賞、国際貢献賞、未来開拓賞、審査部会特別賞、日本ストックホルム青少年水大賞が授与される。
小平井戸の会(会員数約80人)は2015年に設立された。大地震による長期断水の際、井戸は被災者の生活用水確保に大いに役立ってきた。しかし上水道の普及や農地の宅地化などによって一般家庭の井戸は年々減少している。
井戸の会は小平市内の約250基の井戸を定期的に巡回して、使用状況や水量を確認し、その保全とともに震災時に近隣への井戸水供用を呼び掛けてきた。東京都23区多摩26市の井戸行政アンケート調査、行政への働きかけ、啓発冊子の作成、防災講座、見学会など多角的な活動を続けている。
今年の日本水大賞の応募総数は80件。大賞(副賞200万円)は「生徒の夢を実現する玉川学園サンゴプロジェクト」(東京都)だった。市民活動賞(副賞30万円)を受賞した小平井戸の会は「地味だが必要な活動を評価したい」「使われず放置されている井戸を災害時に役立てようとの発想はすばらしい。他の地域への先例になってほしい」などと評価された。
理事長の金子さんは「小平市の市民団体が、このような名誉ある賞を頂けたことにとても感激している。審査委員からも指摘されたように、この活動を近隣の地域はもちろんのこと、できれば全国にも広げていきたい」と話している。
【参考情報】
・第26回日本水大賞(HP)
「小平井戸の会」のみなさんの地道な努力は率直に評価したい。
が、多摩地域の地下水は有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)が問題となっているが、釈然としない行政の対応が批判されている。
関係する国交省や厚労省、日本水大賞委員会はどう考えているのかすっきりしない点は残った。