東京都多摩地区から都心に至る玉川上水沿いを、地球の歴史に思いを巡らせながら歩く、「玉川上水46億年を歩く」が4月28日に開かれる。「いっしょに歩く人」を募っている。
玉川上水は、江戸時代に掘削された、現在の東京都羽村市から新宿区まで、全長43キロの素掘りの上水路。人口が急増した江戸の飲み水を担った。都市化で地下になった下流部を除く30キロが2003年、国の史跡に指定された。歩く会を企画したリー智子さん(62)は、小平市内の一部区間を「奇跡の5キロ」と呼ぶ。「武蔵野の杜を彷彿とさせる緑道。上水の両壁面は『土木遺産』にふさわしく、歴史を感じさせる土のひび割れが美しい」と話す。玉川上水の高低差は、92メートル。100メートルあたり21センチほどで、当時の土木技術の高さがうかがえる。
西武国分寺線鷹の台駅(小平市)東側に、半世紀以上前に決まった上水にかかる都道計画が動き出し、市民有志の署名活動で2013年、計画見直しの賛否を問う住民投票が実現。5万1010人(投票率35.17%)が投票したが、投票率50%の条件が付けられて、開票されなかった。住民投票前後の同市長選の投票率は、37.28%と34.64%だった。その後工事は進み、玉川上水に迫る。リーさんは、「いっしょに歩いて、玉川上水の今を見てほしい」と話す。
28日は午前7時に羽村市を出発し、立川、小金井、西東京、武蔵野、三鷹など各市を経て杉並区へ。午後7時半皇居近くでゴール。「奇跡の5キロ」区間にある小平中央公園内の雑木林で午前11時ごろから昼食休憩し、探検家で医師の関野吉晴さん(75)が、玉川上水の価値について話す。「奇跡の5キロ」だけの参加も歓迎で、希望者にはリーさんが、手づくり地図のデータを事前に送る。
上水沿いの緑道を歩く催しは今回が2回目。3年前は参加した40人ほどが、一部電車を利用した人も含めゴールイン。都道予定地近くに住む石橋彩子さん(48)は、小学生の男児と一緒に完歩した。「緑道の木々に、クワの実やカラスの巣を見つけたり、土の道を子どもが走りたがったり。自然の豊かさを感じる」と話している。
雨天時は29日に延期。問い合わせは、リーさん=080(5019)0153またはEメール(satoko.lee@gmail.com)へ。
【関連情報】
・玉川上水46億年を歩く(HP)(公式facebook)