仏事関連の総合サービスを手掛ける「メモリアルアートの大野屋」(立川市曙町)は3月16日、「推し活」を通じて愛用したアイドルやアニメキャラクターのグッズを供養する「ぬい供養祭」を、小平市の家族葬専用施設「フューネラルリビング小平」で開催した。(カバー写真:供養祭の様子)
「推し」は、アイドルやアニメなどのサブカルチャーの文化で近年使われ出した用語で、自分がひいきにするアイドルやアニメのキャラクターなどを応援する行為、またはその対象のことを指す。
元々はAKB48などの女性アイドルファンが使用していた言葉だが、10〜20代の若者を中心にほかのジャンルにも広がり、推しを趣味として楽しむことを総称して「推し活」と呼ぶようになった。
推し活の内容は人によりさまざまだが、対象のライブや映像を見たり、グッズを購入したりするのが一般的だ。
矢野経済研究所によると、推し活の主要ジャンルであるアイドル・アニメの2021年の市場規模は合計で約4150億円。これに含まれないk-POPや声優なども含めると、さらに上振れする。
一方で、グッズが増え過ぎてしまったり、引っ越しなど生活の変化だったりでグッズを手放す場合は処分の仕方に困るという。同社広報の横田慧美(えみ)さんは「たくさんの思い出が詰まったグッズは、なかなか処分がしにくいという声があった」と話す。
今回の供養祭はこうした声を受け、供養にあまり縁がない若者にアピールしようと同社が企画したもので、推し活で収集したぬいぐるみやフィギュア、キャラクターが描かれたアクリススタンドなどのグッズを募り、奈良薬師寺の後藤信行僧侶を招いて法要を行った。
式場の祭壇にはぬいぐるみを中心にさまざまなアイテムが約700体並べられ、法要に訪れた10組の参加者らは写真を取るなどして最後の別れを惜しんでいた。
法要に参列した20代の女性グループは「(供養したぬいぐるみは)いつも持ち歩いてご飯の写真を撮ったりしていた。人の顔をしているのでゴミとして出すのは気が引けた。(供養ができて)すごくいい機会だった」と話した。
同社では2021年から、雛人形やぬいぐるみなどを対象にした人形供養祭を実施してきた。今後も小平市で「人形と写真の供養祭」の開催を予定する。横田さんは「供養を身近に感じてもらう機会を作っていければ」と話す。
【関連情報】
・ヒューネラルリビング小平(HP)
・メモリアルアートの大野屋(HP)