甘味飲料、炭酸飲料、野菜・果物ジュース、砂糖入りコーヒーを飲む人は飲まない人に比べてうつ病になりやすくなる―。小平市の国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は5月17日、そんな初の研究結果を発表した。国民病とも呼ばれるうつ病を予防するには甘味飲料を控えたほうがよさそうだ。(写真は国立精神・神経医療研究センター)
発表したのはNCNP精神保健研究所・行動医学研究部の成田瑞博士らの研究グループ。日本人の生活習慣・生活環境とガンなどの生活習慣病との関わりを明らかにするため国立がん研究センターなどと共同で進めている研究で、全国7県の健康な男女約10万人(研究を開始した2011年当時40〜74歳)の各種飲料の摂取量と5年後のうつ病との関連をアンケート形式で調べた。
その結果、甘味飲料、炭酸飲料、野菜・果物ジュース、砂糖入りコーヒーの摂取量が多いグループは全く飲まない人に比べてうつ病のリスクが2.3〜3.6%高く、ブラックコーヒーの摂取量が多いとリスクは1.7%低いことが分かった。
これまでの研究で野菜や果物、コーヒーはうつ病を予防する効果があるとされていたが、今回、野菜や果物をジュースで代用することは逆効果になり、コーヒーは砂糖入りかブラックかでうつ病への影響が真反対になる可能性が初めて示された。原因として、糖分による脳由来神経栄養因子(脳の神経細胞の働きを活性化させるタンパク質)の減少と炎症作用、コーヒーに含まれるカフェインによる抗酸化作用や抗炎症作用の影響が考えられるという。
研究グループは「全体としては甘味飲料の摂取を控えることがうつ病の予防には良いと考えられる。今回の研究は40〜74歳が対象で、精神科医の診断ではなく質問紙でうつ病を評価し、リスク差は大きいものでも3.6%であることなどから、さらなる研究が必要だ。他の国や人種による同様の研究も期待される」などとコメントしている。
【参考情報】
・飲料とうつ病との関連について(国立精神・神経医療研究センター)