全国各地の地方新聞の元旦紙面を手に取って読むことができる「ふるさとの新聞元旦号展」が小平市中央図書館で開かれている。今年で第44回を迎える新年恒例の企画。地方の特色あふれる紙面を通じて列島各地の今を知ることができる。2月1日まで市内4つの図書館を巡回する。(カバー写真:地方紙の元旦号を読む来館者 = 小平市中央図書館)
元旦の地方新聞一面は地域色に彩られた明るい話題や大型連載企画、地元にちなむ有名人インタビューなど各紙ともカラー写真と共に特別紙面を展開する。小平市立図書館は北海道新聞から沖縄タイムスまで全国55紙に元旦号の寄贈を依頼。7日現在、ブロック紙、県紙、地域紙など24紙が集まり、期間中新たに到着した元旦号は随時、展示に加える。
1月1日には能登半島を震度7の大地震が襲った。金沢市に本社を置く石川県の地方紙「北国新聞」や富山県の「北日本新聞」は元旦号展に届いていない。この災禍を地元紙はどう伝えているのか。北国新聞ウエブサイトに会員登録すると、デジタル紙面を読むことができる。紙面では被災地の現状と被災者の生々しい声を伝えている。
元旦号展で目に止まった記事をいくつか紹介する。
昨年、大谷翔平選手の活躍で注目を集めた米大リーグ。岩手日報は、盛岡市出身でブルージェイズの菊池雄星(ゆうせい)投手が花巻市に建設する屋内スポーツ施設「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」について報じている。最新機器を備えた施設は11月にオープン。高校生らの練習や交流拠点として地域に開放するほか、自身がシーズンオフに利用するという。
昭和サブカルチャー世代に響いた記事を2つ。鳥取県の日本海新聞は、映画「ゴジラ」のテーマ音楽で知られる作曲家、伊福部昭(いふくべあきら)さんの遺族が、生誕110年を記念して鳥取市に6月開館する「伊福部昭記念資料館(仮称)」を紹介している。伊福部さんは祖父の代まで鳥取市の宇倍神社で神官をしていたという。古民家を改修した資料館には楽器などの愛用品を備えた書斎を再現し、「ゴジラ」テーマ曲原本の自筆楽譜など数万点を保管する。
沖縄タイムスは、南風原(はえばる)町観光協会が同町出身の脚本家、故金城哲夫さんが手がけた特撮テレビ番組「ウルトラマン」などの脚本のデジタル化を進めているという記事を掲載。南風原文化センターが保管する脚本のうち、主に1960代に書かれた「ウルトラQ」や「ウルトラセブン」など劣化が進む57冊を今年度中にデジタルデータで記録し、複製本を作るという。
ちょっと変わったところでは、長野県の南部で発行する「長野日報」は、諏訪市の諏訪清陵高校同窓会が「日本一長い」とされる校歌を最多人数で歌うギネス世界記録に挑戦する試みを紹介している。2025年に迎える学校創立130周年に向けて計画。長年歌い継ぐ歌詞は第一、第二で構成し、序章と終章を含め20番。すべて歌うと10分を超えるという。「歌詞は極めて難解。質実剛健、勤勉努力の校風をはじめ、中国の史記から理想の追求まで歌っている」というから、一度聞いてみたくなる。
展示コーナーには、地方出版社が発行している郷土色豊かな書籍も展示、貸し出している。元旦号展は中央図書館(1月6~11日)で展示後、上宿図書館(13~17日)、大沼図書館(20~25日)、小川西町図書館(27日~2月1日)を回る。
【参考情報】
・第43回ふるさとの新聞元旦号展の開催について(小平市立図書館)