小平市議会(議会中継の動画映像より)

 小平市が市立小学校で使用する教科書の「教師用指導書」を市議会の承認を経ずに購入していた問題で、市議会は9月定例会初日の9月3日、購入追認を求める議案と市長・副市長・教育長の給料を1カ月間、1割減額する議案をそれぞれ可決した。

 市が財産を取得する際、その契約金額が2000万円以上の場合は議会の議決を要することが市の条例で定められている。ところが2015年度、20年度、24年度の教師用指導書の契約金額がそれぞれ2000万円以上(合計約9261万円)だったにもかかわらず、市教育委員会は議会の承認を経ないまま買い入れていたことが6月の全員協議会で明らかにされた。

 昨年11月に他市からの照会で20年度の条例違反が判明したが、市教委は市長らに報告することなく放置。5月末に他市における同様の事案の報道を受けて確認したところ、15年度と24年度の違反が新たに分かった。

 市は6月の議会で購入の追認を求める議案と給与減額に関する議案を上程したが、いずれも閉会中の継続審査となった。8月の生活文教委員会で追認議案の15年度分、20年度分は全会一致で可決されたが、24年度分は「予算編成時には条例違反を認識しており、議会承認を得ることは可能だった」として、さらに継続審査となった。

 減給議案を審査した総務委員会では、市長ら3人の出席を求める動議が提出されたが、賛成少数で否決された。「3人の欠席は事の重大さの認識不足」「条例違反に気づきながら対応を怠った責任はより重大」などの反対意見が出たが、議案は賛成多数で可決された。

 小林洋子市長は8月29日の定例記者会見で今回の件について「深く反省している。(条例違反の発覚時に)私に適切な報告が上がっていれば、24年度分の違反は防げたかもしれない。今後、再発防止に向けた取り組みを徹底させたい」と述べた。

【参考情報】
・議会の議決を経ずに行った教師用指導書の買入れについて(小平市

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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