東京地裁立川支部

 東村山市立小、中学校の教職員が児童や生徒の個人情報を記載した名簿を保護者に無断でPTAに提供したのは、地方公務員の職務範囲を逸脱しており違法として、保護者が2校の校長に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が7月28日、東京地裁立川支部で開かれ、校長側は争う姿勢を示した。

 訴えを起こしたのは、東村山市立の中学校と小学校にそれぞれ通う兄弟の父親。訴状などによると、PTAは任意加入の団体にもかかわらず、入会同意の確認なしに全保護者を自動的に会員として取り扱っていた。また保護者の同意なくPTA に児童・生徒の氏名・学級・兄弟姉妹関係などの個人情報を記した名簿が提供されていた。

 父親は学校職員にPTA活動をさせたり個人情報を提供させたりすることは公務と無関係な私的団体活動への不適切な関与に当たり、地方公務員としての職務の範囲を逸脱しており、是正措置を講じなかった両校の校長は地方公務員法第30条(信用失墜行為の禁止)と第32条(法令遵守義務)に違反すると主張。「精神的苦痛」への損害賠償額は「象徴的意味を込め」て1円とした。

 この日午前に小学校校長、午後には中学校校長に対する口頭弁論が開かれ、校長側はいずれについても「個人が責任を負うものではない」「校長が名簿提供を容認していた行為について、国家賠償法が適応されるべきもので、個人が責任を負わない」と請求棄却を求めた。次回の口頭弁論は小学校校長に対しては、9月8日午後1時10分から、中学校校長に対しては9月11日午後2時半から開かれる予定。

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By 渡辺正大

ジャーナリスト。共同通信社記者、出版社で編集者などを経験。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース修士課程修了。修士論文「調査報道における取材手法の考察」。調査報道、事件、地方自治、ローカルニュース、いじめなど幅広いテーマをフィールドに取材を続けている。

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