古墳内に描かれた壁画(模写)

 東京都小平市小川町の朝鮮大学校で10月12日、歴史講座「百済(くだら)仏教から飛鳥仏教へ」が、開かれる。国学院大学の鈴木靖民・名誉教授が、「百済王興寺(おうこうじ)の性格と歴史的意義」をテーマに解説する。渡来人と渡来文化を通して、朝鮮半島と日本列島に思いをはせる催しだ。

 韓国で2007年、百済(古代朝鮮の国名。4~7世紀)の王興寺跡が発掘され、遺骨を納めるのに使われたとみられる、青銅製の舎利函(しゃりかん)が見つかった。金銀製の玉や装飾耳飾、腕輪、かんざしなどの埋葬品が、日本最古の寺院とされる奈良県・飛鳥寺の埋葬品と類似し、共通性が想起されるという。同県北西部の旧百済村(現広陵町)は、百済人の渡来地と伝わる。

 「古代対外関係史の研究」(吉川弘文館)などの著書がある鈴木氏は、王興寺の由来や特徴を明らかにし、飛鳥寺や飛鳥仏教徒との濃密な関連性から、初期仏教のあり方に迫る。

 同大は、1956年に創立され、59年に現在地に移転。キャンパス内の歴史博物館には、朝鮮半島の古墳内に描かれた壁画の模写など600点が展示されている。

 「学術文化交流の架け橋に」と2011年、朝鮮問題研究センターを設けた。金哲秀(キム・チョルス)センター長は、「朝鮮半島と日本列島は、古代から技術や文化など、相互交流が盛んだった。古代の人たちの知恵や経験を学ぶことは、現代史の理解にもつながる」と話す。講演後の1時間、同博物館も見学できる。

 朝鮮大学校講堂で午後2時~4時。参加費千円(学生無料)で、定員200人。氏名、住所、電話番号を書いて、メール(kucks1105@gmail.com)、またはファクス(042・346・0405)で事前に申し込む。会場に足を運べない歴史ファンには、10月15日から11月16日、オンライン配信もする(学生含め千円)。問い合わせは、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター(042・346・0414)へ。

【関連情報】
・朝鮮大学校(公式サイト

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By 吉井亨

元新聞記者 東京、北海道、九州のほか、群馬を除く関東5県などで取材。卒業後は日本語教師も。

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