2本は強剪定。間の1本が萌芽更新された

 9月19日、20日に東久留米市は、「東けやき公園(東久留米市ひばりが丘団地)」の植栽管理の一環で、3本のケヤキのうち2本に強剪定、1本に萌芽更新を施した。3本のケヤキの作る緑陰で、地域の住民の交流イベントを行なっていた一般社団法人「まちにわ ひばりが丘」では、伐採木を活かす試みを地域住民に呼びかけた。

 9月19日午前9時より、チェーンソーの音が響き渡った。厳しい残暑の中、群青の空を背景にクレーンの先端に職人の姿があった。この公園ができておよそ30年間で伸びた枝が次々と切り落とされる。伐採された枝の処理も同時進行で進む。通りかかった人が思わず立ち止まって、作業に見入っていた。

 市の環境政策課の清水さんが真ん中の木に「萌芽更新中」と書かれた帯状の掲示物を巻き付けていた。「萌芽更新」とは、切り株から新しい芽が出て新たに成長するという説明が書かれている。3本のうちなぜ1本だけが萌芽更新なのか清水さんに尋ねると「隣の木との間隔が狭いので萌芽更新することにしました。木の寿命にかかわる問題ではないです」という返事だった。通常、萌芽更新では幹を思い切って短くするそうだが「ケヤキは(萌芽更新が)難しいので、3メートルくらい残します」と話した。

 近隣の住民の間では、この計画を共有した際「他の木も切られるのか」「(緑が豊かなことが)この街全体の良さでもありますよね。どこの木が切られてもさびしいです」といった反響があった。ひばりが丘パークヒルズ内の「けやき通り」のケヤキが2年前に剪定された時も大胆に選定された樹形に驚いたが、今回は伐採と聞いて不安が湧き上がった。

 「東けやき公園」「ひばりが丘西けやき公園(西東京市ひばりが丘3)」は隣接し、一つの公園に見える。公園の南側に「ひばりテラス118」を有し、コミュニティづくりを行う「まちにわひばりが丘」では、両公園を会場として繰り返しイベントを行ってきた。エリア内の住民に対し、萌芽更新を知らせると同時に「けやきの木を活用しませんか?」と呼びかけた。

 「何か記念になるような物ができないか」「マルシェで工作コーナーができないか」「今までお世話になったので、ありがとうという気持ちで形に残したい」などの声が寄せられた。「まちにわひばりが丘」は、これらの言葉に応えるべく、伐採木の中で真っ直ぐな枝、工作しやすい細い枝などを譲り受け、ものづくりのイベントを企画する予定だ。住民にとって共通の思い出となる公園のケヤキは形を変えて活かされることになる。

 けやき公園全体の落ち葉はかなりの量になり、道路の側溝の詰まりや近隣の住居にふり積もる。今回の植栽管理で冬の落ち葉は激減し、地域の課題が解決することにつながることには違いないが、緑豊かな環境を惜しむ気持ちも枯れることはない。近年の気象状態を鑑みると、公園の日陰はますます重要になっている。近隣の市のホームページを調べると、街路樹や公園の落ち葉がもたらす問題にどこの自治体も頭を悩ませているようだ。住民への清掃の協力依頼、資源化のための無料回収などの対策が公表されている。

 まちにわのイベントの際掃き集めた落ち葉を、堆肥を作るためにとトラックで運んでいった近隣の農家さんがあった。ひばりが丘パークヒルズ内には堆肥を作る木箱が置かれている。落ち葉を活かすには人手がかかることを考えると簡単ではないが、「以前の風景のような居心地のよい空間にするために、今できることは何か、住民と一緒に考えてみようとおもいます」と「まちにわ ひばりが丘」事務局長の若尾さんは考えを話した。

Loading

By 渡邉篤子

ひばりが丘在住約30年。音楽教室講師の傍ら公民館などで音楽講座の講師を務める。ひばりが丘でエリアマネジメントをする民間団体「まちにわひばりが丘」のボランティアチーム「まちにわ師」2期生。コミュニティーメディア「AERU」担当。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP