平櫛田中邸を訪れた陶芸家バーナード・リーチ夫妻との記念撮影、右から陶芸家濱田庄司、平櫛田中、リーチ、リーチ夫人=小平市平櫛田中彫刻美術館提供平櫛田中邸を訪れた陶芸家バーナード・リーチ夫妻との記念撮影、右から陶芸家濱田庄司、平櫛田中、リーチ、リーチ夫人=小平市平櫛田中彫刻美術館提供

 近代日本を代表する彫刻家・平櫛田中(ひらくし・でんちゅう、1872~1979年)が最晩年を過ごした小平市学園西町の旧宅に設けられた小平市平櫛田中彫刻美術館で、特別企画展「平櫛田中邸の記憶」(2025年5月18日まで)が開催中だ。全4章のうち2024年11月24日までは第2章「憩いと交流の場に」をテーマに展示が行われている。

 静かな生活を望んで小平に居を移した田中だったが、日本画家の奥村土牛、陶芸家のバーナード・リーチ、荒川豊蔵といった著名な芸術家や田中を慕うふるさと岡山の人士らが数多く訪問し交流した。その中で田中に贈られた豊蔵の志野茶碗やリーチの「皿」など一流の美術工芸品を公開している。

 第3章「日常に向けられた瑞々(みずみず)しいまなざし」は11月28日から2025年2月11日まで、第4章「おとこざかりは百から」は2月15日から。

 同美術館は旧宅を保存するための耐震補強・改修工事費を賄う第 2弾クラウドファンディングを呼びかけていたが、結果がこのほどまとまり、133件、201万5500円となった。目標の500万円には達しなかったが、同美術館は「協力していただいた皆さまには感謝しています。寄せられた資金は有効に利用させていただきます」と話している。現在一部公開されている改修工事は小平市の事業として本年度中に始まり、旧宅は全面公開停止となる。期間は約1年間を見込み、2025年冬ごろの公開再開を予定している。

 平櫛田中は6代目尾上菊五郎をモデルとした代表作「鏡獅子」をはじめ、写実性や彩色に優れた作品をつくり続け、1962年に文化勲章を受章。最晩年の10年間、創作活動を続けた小平市の自宅は没後、展示用の記念館として公開された。しかし 68年に建てられた建物は半世紀を経て老朽化が進み、2019、20年度の調査で耐震性の基準を下回ることが判明していた。

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By 飯岡志郎

1951年、東京生まれ。西東京市育ちで現在は東村山市在住。通信社勤務40年で、記者としては社会部ひとすじ。リタイア後は歩き旅や図書館通いで金のかからぬ時間つぶしが趣味。

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