小平市議会は9月定例会最終日の9月30日、いじめに関する市教育委員会内の報告や指示を文書で記録に残すことを求める請願と、市教委いじめ問題対策委員会の委員は第三者性を確保した人選を求める請願をそれぞれ全会一致で採択した。いじめ調査に関わる確認・検証を可能にし、調査の公平性・中立性を確保するための措置を市教委に求めている。
2件の請願者は、いじめによって卒業までの半年近く不登校が続き、いじめ重大事態と認定された小平市立小学校6年(当時)の女児家族。請願提出時の紹介議員は安竹洋平議員(一人会派の会)。
請願書や生活文教委員会での質疑によると、被害児童の家族はいじめの実態や対策について2020年から繰り返し市教委に相談し、22年には学校や市庁舎で校長や市職員、有識者らと面談、打ち合わせを重ねた。ところが昨年8月、被害児童に関して市教委が作成した文書や記録を情報開示請求したところ、こうした面談などの文書記録は一切作成されていないことが明らかになった。
これまで市教委は市議会や委員会などで、いじめに関する教育部から教育長への報告や教育長からの指示・指導は口頭でなされており文書は作成していない、と答弁してきた。
一方、小平市公文書等の管理に関する条例は、市職員に対して「当該実施機関における経緯を含めた意思決定に至る過程並びに当該実施機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、検証できるよう、文書を作成しなければならない」と定めている。
請願は、現状がこの条例に違反しているとして、教育長と市教委事務局はいじめに関する市教委内の事項を口頭で伝えるだけでなく、条例に基づき文書で記録に残すよう求めている。
2件目の請願で、いじめ重大事態の調査組織の成員について文部科学省のガイドラインは、公平性・中立性を確保するため「当該いじめの事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)」とし、「職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図るよう努める」と示している。
生活文教委員会での質疑で請願者は、いじめ問題対策委員会の現委員長は2024年度までの11年間、市から報酬を得て市教委事務の点検や評価報告書に学識経験者の意見を寄稿するなど、調査対象の市教委と「直接の人間関係又は特別の利害関係」があり第三者性に疑義がある、と主張。これに対して市教委は「委員長の第三者性に疑義があるとは捉えていない」と反論していた。
請願は(1)いじめ問題対策委員会などの第三者委員会の委員は、第三者性を担保するため、いじめ重大事態の調査に関するガイドラインに沿った人選をすること(2)第三者委員会の委員選任に際して、職能団体や大学、学会からの推薦等を依頼した文書等を残すこと── を求めている。
2つの請願と同様の趣旨の請願が今年7月、市教委に提出されたが、いずれも全会一致で不採択とされた。請願者は「市教委との話し合いは平行線で、『市長への手紙』や市教委への請願でも事態は全く進展しなかった。娘と同じように尊厳を傷つけられる子どもたちがいなくなることを願って今回、市議会への請願提出に至った」と話している。
【関連情報】
・文書質問書・回答書(令和6年分)「小平市教育委員会いじめ問題対策委員会の委員長及び副委員長は、市教育委員会と利害関係を有する等の理由から、いじめ重大事態調査の委員としては不適任であり、交代を求めることについて」(小平市)
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