叩き棒で三和土を修繕する参加者

 小平市内の古民家を移築・復元した小平ふるさと村で、江戸時代に建てられた「旧小川家住宅玄関棟」の三和土(たたき)を昔ながらの方法で修繕する体験会が10月12日開かれ、子どもたちが家族ぐるみで参加した。

 茅葺き入母屋造りの玄関棟は1805年(文化2年)に建てられ、旧小川村の開発を主導した名主の小川家に代々継承されてきた。伝統的な日本家屋の玄関などに用いられた三和土は1993年のふるさと村開園以来、30年余り手入れされないまま風雨で劣化が進んでいたため、9月から修復工事を進めていた。

 体験会は「伝統の工法に触れる貴重な機会。子どもたちが地元の歴史や文化を知るきっかけになれば」と企画され、午前と午後の2回で約30人の親子が参加した。

 「粘土・消石灰・砂利の3種の材料を混ぜて使うので『三和土』と書きます。飛鳥時代からある工法で、太陽熱を吸収しリサイクルできるため省エネにもなります」。作業を教える職人がまず説明した。

 劣化した土を取り除いた上に1層目は砂利、2層目は砂を置き、3層目は粘土質の土に硬化作用がある消石灰、保水・凍結防止作用があるにがりを混ぜた土を敷いて表面が均等になるよう突き固める。

 「叩けば叩くほど強く長持ちする三和土ができる」と鼓舞された子どもたちは、玄関棟横側の屋根下をヒノキの叩き棒でペタペタ打ち始めた。「コンクリートみたい」「これ、いつまでやるの?」「意外と難しいよ」と親と話しながら約1時間、作業を続けていた。

 職人が表面を仕上げたうえで水をかけ、約2カ月間乾燥させる。年内には修繕工事を終えて公開する。

【関連情報】
・小平ふるさと村(公式サイト

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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