清瀬市が市立図書館6つの内4つを2024年末閉館する問題で、市民団体による住民投票の直接請求を審議する臨時清瀬市議会が2月3日開かれ、反対多数で否決した。深夜にわたる審議を通じ激しいやり取りが交わされ、市側は閉鎖対象の1館を当面存続する方針を急きょ示した。
清瀬市には現在「中央」「駅前」「竹丘」「野塩」「下宿」「元町こども」の6図書館があるが、市は利用率の低迷などを理由に「竹丘」「野塩」「下宿」「元町こども」の4館を2024年度末に閉館することを決め、24年3月の定例市議会で図書館再編の条例が成立した。
しかし市民への説明が不十分で乱暴に進められたなどとして、市民団体「住民投票で夢のある図書館を創るきよせの会」が閉館の是非を問う住民投票の実施を求める署名活動を展開。直接請求に必要な数を大きく超える7674筆が集まり、住民投票を行うための条例案を提出した。
この日の臨時市議会には渋谷桂司市長の「貸出者数の減少傾向などから持続可能性を高める工夫が必要。新たに本の宅配サービス、電子図書の充実を計画するほか、閉鎖対象の図書館に代わる市民サロンを整備するなど再編する。このような施策は広報媒体や市議会での議論の中で伝え、市民に情報を最大限公開している。市議会での議決は尊重されるべきであり、廃止か存続かという単純化された投票による結果では市民の思いを正確にとらえることができない。多くの署名が集まったことはこれまでの説明が不十分であったものと受け止め、今後も市民の理解を得られるよう努める」との内容の意見書を付して住民投票条例案が提出された。
直接請求した市民団体代表が意見陳述し「図書館の利用率は決して低くなく、市民の生活にも民主主義の拠点としても重要、子どもの居場所としても大きな役割を果たしている」「閉鎖の計画が唐突に出され、その後も市民の疑問に十分答えないまま乱暴に決められた」「ここで一度立ち止まって考え直すためのきっかけとして住民投票を実施してほしい」などと訴えた。
議員による深夜にわたった審議では、主に図書館閉鎖に関する計画立案から市議会での条例議決までのプロセスをめぐっての厳しい質問に対して市の担当者が答弁に苦しむ場面が目立った。審議の途中で市は特に閉鎖への批判が強かった「元町こども図書館」を当面存続させると急きょ表明した。採決の結果、7対12の反対多数で住民投票条例案は否決された。
傍聴には多くの市民が詰めかけ、否決との結果を受けて「納得できない」「突然1館存続が出てきて驚いた」「図書館を守る運動はこれからも続ける」などの声が聞かれた。
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