家庭で出た使用済みや不要となった食用油の資源化促進を図るため、日揮ホールディングスなど関連企業3社と東村山市が連携・協力する協定締結式が2月10日、東村山市役所で行われた。同様の連携の動きは全国的にも広がり始めているが、具体的に市民から回収して航空機用再生燃料(SAF)製造に至る協定は珍しい。
これまで可燃ごみとして焼却処理されてきた廃食用油を原料にし、CO2を大幅に削減できるSAFで脱炭素社会を目指す「Fry to Fly Project」に東村山市が2024年夏、多摩地域で初めて参加したのに続く取り組み。
2025年2月17日から、同市役所をはじめ市内3か所に廃食用油回収拠点を設置して市民からの回収を受け入れるほか、市内の民間事業者や商店街などへの周知活動を行う。ラードなどの動物性油、マヨネーズ、ドレッシング類などを除いて家庭用油を広く受け入れ、茶箱を利用した回収ボックスに容器のまま入れてもらう。
集まった廃食用油は「レボインターナショナル」が回収、「SAFFAIRE SKY ENERGY」が2024年12月大阪府堺市に完成したプラントで年間3万キロリットルを目指してSAFを製造する。国内で年間約50万トンの廃食用油が発生し、そのうち約10万トンが家庭から出るが、これまで9割以上が廃棄されている。SAFは以前から世界中で注目され、需要も右肩上がりで伸びる見込みという。
この日の協定締結式で日揮ホールディングスの秋鹿(あいか)正敬・専務執行役員は「価値のある事業だが廃食用油の回収は大変でなかなか進んでいない。市民の行動変容を促す意味でこの協定は意義深い」とあいさつ。
渡部尚・東村山市長は「温室効果ガスの削減とごみ減量に資する一石二鳥の取り組みになる。今後回収拠点を増やしたり、学校給食で出た分を提供したりすることなどを考えたい」と述べた。

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