小平市は職場におけるハラスメントの実態と意識を把握するため市職員に対するアンケート調査を初めて実施し、このほどその集計結果を発表した。ここ3年間で職員の5人に1人がハラスメントを受けたことがあり、そのうち9割がパワハラだった実態が明らかになった。
兵庫県知事のパワハラ行為をはじめ職場におけるパワハラ、セクハラが社会問題になっている。西東京市では2023年、男性市議(当時71歳)が女性市議2人に「専業主婦になったほうがいい」「いじめてやる」などと発言したことが問題化し、市議会は「ハラスメントのない西東京市議会を目指すことに努める決議」を可決。男性市議は謝罪し、24年3月に市議を辞職した。東村山市議会も24年9月にパワハラ根絶決議を可決している。
小平市では24年7月、部下にパワハラやセクハラ行為をした職員を懲戒処分にした。これを受けて小平市は昨年12月18日から今年1月15日、常勤職員、再任用職員、会計年度任用職員の計2332人を対象に匿名のアンケート調査を実施し、847件の回答を得た(回答率36%)。
調査で「3年以内のハラスメント経験」を複数回答可(以下同じ)で尋ねたところ、20%が「ある」、28%が「見聞きしたことがある」、9%が「相談を受けたことがある」と答えた。「ある」と答えた人のハラスメントの種類は90%がパワハラ、6%がセクハラで、5%が妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントだった。その加害者は61%が上司(市長・副市長・教育長以外)、27%が同僚、13%が議員等、5%が部下だった。
ハラスメント行為を受けた後の状況について、91%が「怒りや不満、不安などを感じた」、76%が「仕事に対する意欲が減退した」、49%が「眠れなくなった」、18%が「通院・服薬」などと回答。本人の対応は「上司/同僚/家族に相談した」が40〜46%、「何もしなかった」が20%、「直接抗議した」は10%だった。
有効なハラスメント防止対策を聞くと「風通しの良い職場づくり」が53%で最も多く、以下「相談体制の強化」が34%、「外部相談窓口の設置」が33%。苦情相談窓口に対する心配や利用しない理由としては「プライバシーが守られない」が47%で最も多く、以下「問題解決にならない」が41%、「相談して異動するなど不利益な事態にならないか」が34%だった。
カスタマーハラスメント(顧客からの理不尽なクレームや言動)を受けたことが「ある」と答えたのは46%。うち95%が「市民」からで、その内容は73%が「精神的な攻撃」、69%が「継続的、執拗な言動」、43%が「行政手続きにかかわる不当な要求」だった。
この調査結果は単純集計の速報値で、アンケートではハラスメントの具体的内容を尋ねる自由回答欄があるため、市職員課は「回答内容を精査、分析したうえ詳しい調査結果にまとめたい」と話している。
関連情報:
・職員ハラスメントアンケート調査の実施について(小平市)