西東京市の市民団体が一堂に会して、日頃の活動を市民に紹介し交流する「第16回NPO市民フェスティバル」が2月15日、同市田無町、「ONE FOR ALL西東京」で開催された。市民活動を支援し、現在150を超える団体が登録している西東京市市民協働推進センター「ゆめこらぼ」などの主催で、参加者たちはトークショー、体験コーナー、交流スペース、販売ブースなど多彩な企画をにぎやかに楽しんだ。

親子連れも楽しさ満喫

 4階の「西東京市民文化プラザ」では、まず目玉イベントの一つ、マンガ「孤独のグルメ」で一躍有名になった久住昌之さんのトークショーが行われた。聞き手は「ゆめこらぼ」センター長の樫出浩雅さん。満員の聴衆を前に、マンガ、テレビドラマ、映画になった「孤独のグルメ」にまつわるエピソード、裏話、苦労話などのトークが1時間半にわたり繰り広げられた。

 トークショーが終わると会場を衣替えして親子連れで楽しめるたくさんのブースができた。やさしい工作、遊びのコーナーのほか、呼び物の企画「保谷クロッキー会」による似顔絵描きには順番の列ができた。女の子は「たまたま見つけて楽しそうだったから描いてもらった」とうれしそう。お父さんも「きれいな建物で、にぎやかでいいですね」と目を細めた。

 主催者の樫出さんは「子ども用のチラシも作り、近隣のマンションの人にも宣伝しました」と多くの子どもが訪れてくれたことに満足そうだった。

■体験通じ活動に実感

 参加者とじっくり話をするのが目的の団体も。市民の力で放射能を測り、測定結果を踏まえて共に学ぶ活動を行っている「放射能測定を考える会西東京」のコーナーで放射性物質の空間線量計を実際に見て説明を聞くと、活動の趣旨が実感を伴って伝わった。

 ほかにも「参加する楽しさ、発見する喜び」とのキャッチフレーズそのままに、「ひとこと言いたい」とコメントを書いて貼ったり、楽器の音を出してみたりと、参加者が体を動かして体験するコーナーが並んで会場は熱気に包まれた。地域交流スペースとキッズコーナーを覗くと、ここにも子どもたちが楽しめる「読み聞かせや」お母さんたちが喜ぶフリーマーケット、飲食関連の店が並んでいた。

 体験イベントに先立ち、西東京市役所田無庁舎2階ロビーで33団体の展示も行われた。「ゆめこらぼ」登録団体のチラシを並べたコーナーでは、多くの人たちがそれぞれの思いで地道な活動をしていることが分かり、地域の底力を見せつけられた。

■仲間がいるから

 会場の一角で飲み物を囲んで集っている若者たちがいた。胸には「子どもアミーゴ西東京」。これからベーゴマのコーナーを担当するという。「全員高校生です。普段はひばりが丘児童センターに行っています」と自己紹介してくれた。

 「小学生、中学生の時は同じ学校の子もいたけど、今はみんなバラバラ」「だから余計に大切」「解放される感じがする」と口々に話す。児童センターでの遊びやスポーツを通して、気心の知れた仲間になっていったようだ。

 「このイベントは楽しい」と声をそろえる。自分たちが年上にしてもらったように、小さい子たちに教えてあげるということなのだろう。「ひばりが丘は田舎すぎない、都会すぎないところが好き」と言う第一の理由は「仲間がいるから」に違いない。

 「オレら連絡先とか知らないんですよ」「児童センターに行けば誰かに会えるから」彼らにとって地域の活動に参加することは決して高いハードルではなく、ごく自然な気持ちの表れと感じた。

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By 渡邉篤子

ひばりが丘在住約30年。音楽教室講師の傍ら公民館などで音楽講座の講師を務める。ひばりが丘でエリアマネジメントをする民間団体「まちにわひばりが丘」のボランティアチーム「まちにわ師」2期生。コミュニティーメディア「AERU」担当。

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