戦後80年を迎え、西東京市は戦争体験を風化させないため市民と制作した映像作品「忘れてはいけない記憶~西東京市にもあった戦争・アニメ原爆の記~」(2023年)のアニメ部分を抜粋・編集した約20分の映像をこのほど公式YouTubeチャンネルで公開した。
戦後70年となる2015年、西東京市は市内の戦跡や空襲体験者の証言を紹介する映像「忘れてはいけない記憶~西東京市にもあった戦争~」を「非核・平和をすすめる西東京市民の会」と協働で制作した。2023年には、このドキュメンタリーに約15分の「アニメ原爆の記」(外村史郎監督、西東京シネマ倶楽部制作)と、新たな戦争遺跡映像を収録した約40分の作品を公開した。
「アニメ原爆の記」は初代田無市長の指田吾一(さしだ・ごいち)氏が軍医として派遣された広島で自らの被爆と原爆投下直後の被爆者を治療した体験をつづった手記『原爆の記』(1969年発刊)をアニメ化した作品。「誰と誰が生き残るという生ぬるいものではない。ただ意思のない、考えのない、苦しみを呼吸するだけの人たち…」。原爆の悲惨を重厚な映像とナレーションで表現し、2024年東京ビデオフェスティバルで入賞作品の「TVF2024アワード」に選ばれた。
今回、アニメ部分を抜粋した映像を新たに制作した市協働コミュニティ課は「アニメに焦点を当てた映像で戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えるための選択肢を広げる試み。戦後80年の新たな年度を迎え、市として今後も平和啓発事業に力を入れていきたい」としている。

参考情報:
・アニメで伝える『原爆の記』(西東京市)