西東京市南町でハーブ、野菜、果実などの生産・販売を行う「ニイクラファーム」の専務取締役の新倉大次郎さん(53)と、西武池袋線東久留米駅東口でインド料理店「ルチラ」を経営するソービ・トーマス・アブラハムさん(61)は18日、ハーブの販路拡大と試験栽培の実現に向け、お互いに協力し合っていくことで合意した。(カバー写真:カレーの木の前で握手。左から新倉大次郎さん、ソービ・トーマス・アブラハムさん)
ハーブが取り持つ縁で日印協力が新年早々スタートを切った。
アブラハムさんは、人づてに西東京市の農家にインド料理の香りづけに欠かせない木の葉・カレーリーフの木(カレーの木)があることを聞き、一度自分の目で確かめたいと思い、この日ニイクラファームを訪れた。新倉さんとハーブ談議に花を咲かせているうちに二人が意気投合した。
カレーの木は通称でインド原産。ミカン科ゲッキツ属の常緑木本。成長すると高さは4~6m、幹は40㎝ほどになる。和名はオオバゲッキツ(大葉月橘)、ナンヨウザンショウ(南洋山椒)。葉を折ると柑橘系のさわやかな香りがほのかに漂う。
ニイクラファームの農場の温室の一角にあるカレーの木は、高さは2mを超え温室の天井に届いている。
アブラハムさんは「日本でこんなに大きなカレーの木は見たことがない。葉も大きく香りも強い。インド人やインド料理店ではこのカレーリーフをすぐにでも使いたくなる」と絶賛する。
農家の4代目という新倉さんによると、数年前、知り合いのインド人から鉢植えを譲り受け、温室の中に植え替えた。土地がカレーの木の生育に合っていたのか、ここまで大きく育った。
ニイクラファームは明治初期から続く農家で、良質のハーブを有名レストランやシェフに販売していることで知られる。
カレーの木にすっかり魅了されたアブラハムさんは「インド料理で使うハーブは種類も量も多い。できれば日本では手に入りにくいハーブをここで栽培してもらいたい。土地が合うかどうかの様子見に、キャッサバとパパイヤから始めるのがいいのでは」と夢を広げる。
新倉さんも「温室1棟をアブラハムさんが必要とするハーブの栽培に充ててもいいかな」と前向きだ。二人は別れ際にカレーの木の前でガッチリ握手、近いうちの再会を誓った。
ニイクラファームは観光農園ではないので、個人向けの見学や販売はしていない。
【関連情報】
・有限会社ニイクラファーム(HP)
・ルチラ(HP)