晴れて風のない穏やかな日に、西東京市緑町にある東大の田無演習林に行ってみた。

 針葉樹と落葉高木の林を除けば、すっかり葉を落とした落葉樹の林は冬の日差しがたっぷり地上に届き明るかった。

 8.3ヘクタールもある演習林では予想通り誰にも会うことなく、小一時間の散策を満喫した。この時季、地上にも頭上にも花を見ることはないと思っていたがやはり寂しい。

 演習林セミナーハウスの前に来た時、色鮮やかな赤い楕円形をした木の実が落ちていた。周りの常緑低木の実ではないと思い、頭上を見上げると10メートル以上もある。

 大きな木に気がついた。イヌモチの大木だった。笠のように広がった枝と葉の間に赤い実がびっしりついているのが見えた。

 常緑高木のイヌモチは主に関東以西分布し、11月頃に赤い実をつける。鳥類には冬を乗り切るための重要な食糧で、木には数種類の小鳥が群がり、騒がしく実をついばんでいた。道に落ちていた実は、彼らが落としたものだった。

イヌモチの実
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林

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By 鈴木信幸

1950年、福島県会津坂下町生まれ。元新聞記者。現在、フリージャーナリスト。1980~81年滝山団地、81~97年ひばりが丘団地に住む。西東京市在住。

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