工事中の中央エリア

 小平市は市役所周辺の「中央エリア」3施設の建て替え計画の一部中止と小平第十三小学校複合施設計画の実施時期延期を12月12日の小平市議会全員協議会で公表した。主な原因として「工事費の急激な増加」などを理由に挙げている。公共施設の整備計画については、今年4月の小平市長選の争点にもなっており、計画の変更は議論を呼びそうだ。

  全員協議会で小林洋子市長は「資材価格の高騰、人手不足などにより計画の見直しをせざるを得ない状況になった」などとした上で「(2026年1月に開催予定の)市民向け説明会で市長自らが説明をする」などと答弁した。

 今回の計画変更について、小平市財務担当部長によると「今年9月から10月にかけて担当課と方向性の調整を進め、12月頭に計画変更の意思決定をした」ことを明らかにした。

 11月下旬に行われた、小平市議会12月議会一般質問では、複数の議員から公共施設の整備計画について質問は出たものの、市当局からは今回の変更に関する答弁はなかった。この点について、一般質問をした細谷正議員(日本共産党小平市議団)からは「(方向性について決めていたならば)議員の一般質問の中で真摯に答えてもらうべきだった。あまりに不誠実」と批判。また伊藤央議員(一人会派と維新の会)は「(変更の方向性について)今年9月まで放置していたことは驚きだ。早急に判断をしていれば、市民の損害を小さくできたのではないか。反省がない」と発言した。

 小平市はこれまで公共施設マネジメント推進計画に基づき、中央エリアの中央公民館・健康福祉事務センター・福祉会館の建て替え事業、小川駅西口複合施設事業、小平第十一小学校・第十三小学校の地域センターとの複合化事業を進めてきた。

 中央エリア整備事業は世界的に活躍する隈研吾建築都市設計事務所が設計を手掛けることから注目を集め、事業費が当初の44億円から104億円に膨らんだため、小平市長選で計画見直しを訴える新人候補者が相次いだ。

 市の説明によると、中央エリア整備の事業費は2024年1月時点で総額104億円と試算していたが、2026度の予算措置では総額128億円となる見込みで、約1・2倍の増額となる。また財政負担を軽減するため、健康福祉事務センター敷地に計画していた別棟(多目的室・カフェ)の整備(約5億円)を中止し、2026年度に整備内容の検討をする。

 また小学校の複合施設整備については第十三小の実施時期を延長する。設計が進んでいる第十一小の整備を先行し、その完了後に財政状況を見極めた上で第十三小の整備再開を目指す。整備費用は2024年3月時点で各校50〜60億円と試算していたが、80〜90億円と約1・5倍の増額が見込まれるという。同小の学童保育施設については「老朽化が進み、児童にとって安心できる環境か」と不安の声も出ている。

 計画の見直しについて小平市は「コストの急激な増加」「更新時期の短期的な集中」「現在の厳しい財政状況」を挙げている。来年1月以降、各事業に関する市民向けの説明会やパネル展示展などを実施する予定。

参考情報

公共施設マネジメントの取組の当面の進め方について(小平市)

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By 渡辺正大

ジャーナリスト。共同通信社記者、出版社で編集者などを経験。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース修士課程修了。修士論文「調査報道における取材手法の考察」。調査報道、事件、地方自治、ローカルニュース、いじめなど幅広いテーマをフィールドに取材を続けている。

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