地名・文化・名字など「鈴木」という名前でつながる第1回「こだいら鈴木祭」が9月21日、小平市鈴木町の鈴木稲荷神社近くの回田けやき公園で開催された。この日は神輿や太鼓、鈴木囃子(ばやし)の山車が鈴木街道を巡行する同神社の神幸祭も催され、地域の伝統行事と新しい祭りが交わって、会場は終日、大勢の来場者でにぎわった。
全国で2番目に多い鈴木姓(1番は佐藤)の発祥は、平安時代末期に熊野地方から和歌山県海南市に移り住んだ「藤白鈴木氏」にさかのぼるとされる。一方、小平市鈴木町の由来は享保9年(1724年)に新田開発を進めた名主の鈴木利左衛門の姓にちなむ。
鈴木町には江戸祭囃子を源流とする郷土芸能「鈴木囃子」や後期旧石器時代を代表する国指定史跡「鈴木遺跡」、鈴木稲荷神社など鈴木にまつわる歴史と文化が息づいている。地域を舞台に新しい伝統を生みだし「鈴木のふるさと」をつくろうと、地元有志が3年前から鈴木祭の準備を進めてきた。
午前10時過ぎから始まった祭り会場には、飲食や雑貨の屋台が30以上出店し、鈴木遺跡にちなんでやじりを投げる「旧石器射的」などの出し物や抹茶体験といったワークショップを開催。ステージでは鈴木小学校児童による「鈴木地域よさこい」や鈴木遺跡の発掘経験者を含む鼎談、人形劇、アコースティックライブなど多彩な企画が次々と催された。
地域の家族連れがあふれ返るなかで鈴木姓の来場者は「VIP」待遇。国分寺市から来たという鈴木さん家族は、鈴木バッジや鈴木ステッカーなど限定オリジナルグッズを進呈され、「(鈴木町に)初めて来ました。なんだか誇らしいです」。日が暮れると、オリジナルの盆踊り「鈴木音頭」に合わせて、子どもたちがライトアップされた公園内を踊り歩いた。
鈴木町の魅力を発信する地域発の祭りは来年も開催する。実行委員会の出口みちたかさんは「全国の鈴木さんが一生に一度はここを訪れる〝鈴木の聖地〟にしたい」と話している。



