市民の声を反映させて、障害者も利用しやすいインクルーシブ遊具や市民活動の場を備え、防災機能も持つ「萩山公園」が9月27日、東村山市萩山町にオープンした。萩山公園は広さ約5800平方メートル。西武鉄道萩山駅近くで、多摩湖自転車歩行者道(都立狭山・境緑道)の北側に位置している。
雑木林ゾーン、広場ゾーン、エントランスゾーンに分かれ、市民に思い思いの憩いを提供する。北西側の一角には都市公園法に基づくPark-PFI(公募対象公園)制度を利用し、管理拠点と共に、飲食、物販、市民教室などさまざまな活動、交流の場としての活用が可能な建物「はぎま」が民間の力でできた。
さらに災害時には避難ゾーン、救援ゾーンとして災害対策拠点や避難場所として機能する。災害時用には防災トイレ、マンホールトイレ、非常用照明灯を整備している。
この日は公園開園記念式典と被爆樹木二世の植樹式が行われた。渡部尚市長は「豊かな緑を残しながらこれからの時代にふさわしい公園にしようと、市民とともに計画を練ってきた。その結果、多様性、防災、環境に配慮し、未来に向けて平和を考える欲張りな公園になった。子どもたちをはぐくみ、大人たちにも憩いの場として末永く愛してほしい」とあいさつした。
植樹式で公園西側の「ざわざわ森」に植えられたのは、原爆で被爆しながら芽吹いた広島市のアオギリと長崎市のクスノキ。平和の大切さを次世代と共有し、平和意識の醸成につなげることを目的とした。
萩山公園はお茶の水女子大の学習体験農場だった土地を譲り受け、東村山市が2022年から26年までの事業として整備した。当初の工事請負費用は3億5420万円だったが、その後市民の追加要望受け入れや防災施設の工事費増加、想定外の地盤改良、樹木伐採の必要などが重なり、20%に当たる6800万円の費用増が生じ、総額4億2200万円に膨らんだ。
この問題をめぐって市議会の9月定例会で質問が相次ぎ、渡部市長が契約当初の見通しが甘かったことや、市議会への説明が遅れたことなどを反省し「今後このようなことがないようにしたい」と表明する場面があった。

