1人会派を認める提案可決の瞬間(10月3日、東村山市議会)

 東村山市議会は9月定例会最終日の10月3日、これまで会派は複数で構成されるものとしてきた市議会基本条例を改正して1人会派も認める議員提出議案を賛成多数で可決した。自民、公明は「運用上の配慮などで対処できる」と反対して激しい議論が交わされたが、会派を名乗れないために生じる不利益を解消するべきとの改正案が成立した。

 東村山市議会基本条例は第4条で「議員は、複数の議員で会派を結成することができる」と定めている。これに対し政党などに属して単独の議席を持つ議員からは「公式には無所属とされ、議会だよりやウェブサイトなどで政党名を名乗れないことで不利益を被っている」と不満が出され、議論が続いてきた。

 2021年の条例改正前はすべての議員が会派に属すことが定められ、1人でも会派を名乗っていた。「会派は複数で」と改正された際、会派に属さない議員に生じる不利益に対しては「配慮する」との付帯決議がなされた。しかしその後も具体的な改善への合意がなされないことから議員提案として今議会に「議員は、個人または複数の議員で会派を結成することができる」との条例改正案が提出された。

 提案説明に立った東村山・生活者ネットワーク所属の白石えつ子議員は「会派に属さない議員は『無所属議員』とされ、政党に所属しながら政党名を表記できない状態は市民に正確な情報が伝わらないことで議会活動上の深刻な不利益となっている」と訴えた。

 この議員提案に対し別の条例改正案が公明党の横尾たかお議員らから提出された。横尾議員は「会派の構成員数が十分な議論なしに変更されようとしている。本来ならばこの問題は条例改正を要するものではなく規則や運用で対応すべきものだ」として、第4条に「会派に属さない議員は会派に準じて呼称を用いることができる」との項目を追加する改正案を説明した。

 その後質疑、討論が激しくたたかわされ、採決の結果横尾議員らの提案が否決、1人会派を認める提案が12対11の賛成多数で可決された。4年前の会派規定に戻ることになるが、会派を名乗るのは強制ではない。

 定数25の同市議会が今年3月、1人欠員が生じて24人となり、自民、公明が計11人となったのに対してその他が13人となったのを受けた動き。ことし5月には議長、副議長選挙で初めて非自公系が勝った。

 市議会に提出された資料などによると、東京都の26市議会で1人から会派を名乗れるのは12、2人からは10、3人からは4となり、はなこエリア5市の議会では東久留米と清瀬が1人から会派を名乗っている。「会派」の役割や人数を規定する法律はない。

1人会派を認める議案の質疑答弁席に並んだ市議
会派人数規定の変更を認めない提案を説明する公明党の横尾たかお議員(中央)

Loading

By 飯岡志郎

1951年、東京生まれ。西東京市育ちで現在は東村山市在住。通信社勤務40年で、記者としては社会部ひとすじ。リタイア後は歩き旅や図書館通いで金のかからぬ時間つぶしが趣味。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です