秋津小児童が制作した多磨全生園の模型

 国が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に定めた6月22日に向けて、ハンセン病療養所多磨全生園を市内に抱える東村山市が市役所いきいきプラザ(同市本町)で、市立秋津小の児童が制作した全生園の模型を展示し、ハンセン病問題への理解と啓発を目指している。

 模型は2メートル四方ほどの台座に段ボールや紙粘土など身近にある材料で1950年代の全生園の姿をベースに、入居者の木造住宅、小学校、宗教施設のほか死去した入居者の火葬場も作りこまれるなど園内で暮らした人々の様子が生き生きと表現されている。

 同小の図画工作担当の岩尾卯野(うの)教諭(29)が以前から関心を持っていたハンセン病問題を題材にした図工教育を構想。2025年夏、6年生担当主任の伊藤李(もも)教諭(38)に相談して実践することになった。教員自身がハンセン病問題を学ぶことから始め、6年生3クラスの児童に対するハンセン病についての授業を重ねた。上から教え込むのではなく、差別の色が濃かった当時の環境に自分を置くことでどう感じるかを考えることや、全生園の見学、ハンセン病回復者の話を実際に聞くなどの活動を通じて認識を深めていった。

 約半年間をかけた模型の制作も児童の発想や工夫を最大限生かし、カラフルな中にも入所者の苦しみ悲しみやハンセン病問題の深刻さが伝わってくる。2026年2月小学校の図工室で作品発表が行われ、その後出来栄えが高く評されて校外での展示が次々と実現した。

 4月、市立中央公民館で開かれた「ハンセン病を知る企画」の会場では展示と同時に、制作を担当した岩尾教諭や児童らが紹介されて観客から盛んな拍手を受け、5月31日に全生園内で開かれた「あつまれ人権の森」イベントでも多くの参加者の目を引くなど人権啓発に大きな役割を果たしている。

 岩尾教諭は「学校内で終わる取り組みと思っていたが、このようにハンセン病問題を広く知ってもらう機会をいただけたことはありがたい。子どもたちにとっても自身の力でこの問題に向き合ったのはよかったと思う」と話している。

 秋津小では2026年度も図工の授業で同様の取り組みを予定しているという。

模型を展示したいきいきプラザロビー

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By 飯岡志郎

1951年、東京生まれ。西東京市育ちで現在は東村山市在住。通信社勤務40年で、記者としては社会部ひとすじ。リタイア後は歩き旅や図書館通いで金のかからぬ時間つぶしが趣味。

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