ハンセン病療養所入所者で海外にルーツを持つ「外国人」に光を当てた企画展が7月18日(土)から11月29日(日)まで開かれるのを前に7月17日、国立ハンセン病資料館(東村山市青葉町)で報道関係者に対する展示説明があった。
「ハンセン病療養所のなかの『外国人』」と題した企画展は、戦前の日本の植民地支配を背景に多数の入所者がいた朝鮮人(朝鮮半島にルーツを持つ人々の同企画展での呼称)をはじめとして、「外国人」の療養所での生活、差別との闘い、文化活動などを計113点の資料で紹介している。
在日韓国・朝鮮人が日本社会の中の人口比率が0.6%といわれる中で、ハンセン病療養所の中には入所者の10%を超える施設があり、全国の療養所でも平均6%を占めていた。それだけハンセン病療養所の歴史を語る上で朝鮮人の存在は大きい意味があったにもかかわらず、これまで注目されることが少なかった。
朝鮮人入所者の親睦団体が戦前には多磨全生園だけにあったが、戦後になって全国の療養所に広がり、1959年の「年金獲得闘争」を背景に全国組織の通称「同盟」が結成された。日本国籍でなくなったのを理由に救済制度が適用されなかったり、療養所内でもあからさまな差別を受けたりすることに対する闘いが長く続いた。
療養所では患者作業として土木作業などが行われたが、朝鮮人入所者が特にきつい作業、嫌がられる仕事を押し付けられたり、あるいは差別に抗するため自ら進んで引き受けたりする実態があった。
1990年代以降になると、積極的に療養所の外に出て朝鮮生活、文化、芸能を披露するなど民族のアイデンティティに目覚めた活動が盛んになる。会場にはそのことを物語る生活用品や衣装が展示されている。民族意識に目覚めての文芸活動から作品や書籍も多く生まれた。
このほか、ロシア革命で日本に亡命したロシア人貴族の末裔やインドネシア人と日本人の混血で留学後ハンセン病を発症した女性など数奇な運命をたどった外国ルーツの療養所入所者も紹介されている。
同資料館の木村哲也学芸員は「この企画展がハンセン病への理解を深めるとともに、見過ごされてきた歴史に目を向け、多様性と共生の在り方について考えるきっかけになるよう期待したい」と話している。
この企画展が終了後、同資料館は常設展示リニューアルのため12月1日から2027年3月31日まで休館する。


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