東久留米市柳窪で麦踏みの体験ができると聞いて2月14日、麦畑に行ってみた。
奥住寿男さん(67)の麦畑約15アール(約450坪)には、奥住さんと「東久留米水と景観を守る会」の会員6人が、畝(うね)ごとに並んでカニの横歩きのように横にずれながら丁寧に麦を踏んでいた。
麦踏みは、単純に横にずれて行けば良いのではなく、足の裏全体に体重をかけて踏みつけるようにするのがコツ。ふくらはぎをはじめ下半身の筋肉を使うので、決して楽な作業ではない。
この麦は、江戸東京野菜の「歴史伝承作物」に登録されている柳窪小麦だ。
江戸時代の1850年頃、柳窪に住んでいた奥住又右衛門が偶然、丈の高い麦穂を発見、栽培を始めたのが柳窪小麦の発祥とされる。
江戸時代は屋根葺(ぶ)きや味噌の原材料に使われた他、小麦粉にすると粘りが強く香りが良いため、うどんにしてよく食べられた。
丈が高く(約150センチ)倒れやすい、品種改良された小麦に比べて収穫量が少ないことから、食糧増産が求められた戦時中に生産が一時途絶えた。
又右衛門の子孫で寿男さんの養父・和夫さん(2017年死去)が1987(昭和62)年に柳窪小麦を復活させ、今では15軒の農家が栽培している。
柳窪小麦は現在、ラーメン、うどん、パン、クッキー、カリントウなどに加工されて好評を博している。柳窪小麦の加工食品は、JA東京みらいの東久留米新鮮館(HP)、東久留米駅東口の野崎書林(X)などで購入できる。
【関連情報】
・柳久保小麦の基本情報(TOKYO GROWN)
・柳久保かりんとう(中谷製菓)