東村山市は2025年1月から市立の小中学校で学校給食費の全額無償化を実施すると発表した。
東京都が9月6日、これまで区市町村のコストの2分の1を補助していたのを拡大して8分の7まで負担する方針を決めたのを受けた措置で、東村山市の15小学校、約6800人、7中学校、約3500人が対象。来年1月から3月までの2024年度3学期を実施時期としているが、その後も継続される見通し。
給食費無償化の動きが全国共通の課題となる中、東京都では23区すべてのほか市町村部でも新年度にかけて導入が進んでいた。東村山市は「完全無償化には都が半額補助しても、年3億円かかり財政的に厳しい」などとして導入のめどが立っていなかった。
渡部市長が会長を務める東京都市長会は2023年7月以降、再三にわたって都知事に対して無償化に向けた補助の拡大を要望した。これを受けて都は2024年度9月補正予算案に、すべての市町村が学校給食の無償化を実施できるよう「市町村総合交付金」として当面3学期相当分の17億円を計上した。これにより、それまでの半額補助から8分の7補助に拡充された。
現状で東村山市立小中学校のうち、小学校は自校内に調理施設を持って給食を提供している。中学校は「スクールランチ」という弁当を事前に申し込むと市内の業者が学校まで届ける制度を運用しており、半分強の生徒が利用している。残りは家庭から弁当を持参する。
現在の給食費は1食あたり小学校が262円から309円、中学校は333円で、そのうち11%分を「学校給食物価高騰対応補助金」として保護者側に支給している。2026年の2学期からをめどに中学校でも暖かい給食を全員に食べてもらう施策を今年7月に発表していた。
全員給食が実施されるまでの間は「スクールランチ」と持参弁当の選択制が続くが、来年1月以降「スクールランチ」は無料、持参弁当は引き続き11%分を補助し、アレルギー等の理由で「スクールランチ」を申し込めない生徒は全額を無償化の対象とする。
これにより、来年1-3月の給食費は小学校で1人当たり平均1万2868円、中学校で1万4100円の負担軽減につながるという。
渡部市長は11日の記者会見で「本来は国が完全無償化に責任を持つべきだが、これにより23区との格差、近隣市とのばらつきを解消する方向に進むことはありがたい。依然として市の財政的な負担は軽くないが着実に実施していきたい」と述べた。
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