任期満了に伴う西東京市長選挙は2月2日に投開票され、無所属で現職の池澤隆史氏(65)=自民、公明推薦=が3万7171票を獲得し、1万1092票の共産新人で同党北多摩東部地区委員長の井手重美津子氏(61)=西東京・生活者ネットワーク推薦=と6171票の無所属新人で政治団体代表の杉浦未来氏(28)を大差で破って再選を果たした。
当日有権者数は16万9019人。投票率は32.72%で、前回(2021年)の42.23%を9.51ポイント下回った。西東京市が発足した2001年からの市長選でこれまで最低だった2017年の32.90%を下回り、過去最低となった。この日は朝から真冬並みの寒さで終日、雨模様だったことも影響したとみられる。
当選が確実となった午後10時半すぎ、選挙事務所に現れた池澤氏は「1期目で築いた『子ども』『環境』『平和』『若者』という政策の4本柱を2期目はさらに発展させ、市民が安心して暮らせる西東京市を築いていきたい」とあいさつした後、支援者らと万歳三唱。過去最低の投票率について問われると「厳しい状況だ。市民のみなさんにもっと関心を持ってもらえる市政運営をしていきたい」と述べた。
西東京市の副市長から出馬し初当選した前回の得票数は3万4299票で、次点だった立憲民主、共産、西東京・生活者ネットワーク推薦の無所属新人とは1514票の僅差だった。
今回、有力な対立候補はおらず、「実質的な信任投票」と指摘される中、推薦政党のほか業界団体などの支持を幅広く集め、得票率は2001年から実施された西東京市長選では最高の得票率となる68%になった。
当初、無投票当選との見通しもあったが、陣営幹部は「選挙で市民の付託が数となって与えられたことは、今後の市長の活動において下支えになる」と力を込めた。
選挙戦で池澤氏は「この4年間で市民の声に耳を傾けながら、給食費無償化の実現や保育園待機児童の解消などの施策を進めてきた」と1期目の実績を強調。次期4年では老朽化した小中学校の建て替えや子どもの医療費助成などの施策を通じて「次の世代を担う子どもや若者により良い街を引き継いでいく」と訴えて支持を広げた。
井手重氏は現市政について「市民の生活苦対策が不十分」と批判。国保料・介護保険料の負担軽減、学童クラブの過密化解消、有機フッ素化合物(PFAS)調査などの必要性を主張したが、出馬表明は告示日の3日前と出遅れ、野党共闘も実現しなかった。
杉浦氏は「しがらみにとらわれない自由で公正な政治」を掲げ、スピーカー付き選挙カーや演説マイクを使わずに「安全・安心な医療・介護・子育ての実現」「行政の透明化の実現」などを訴えたが、及ばなかった。
元市議が昨年3月に辞職したことに伴う西東京市議会の補欠選挙(被選挙数1)も同日投開票され、立憲民主新人で元小学校教師の千間泉実氏(32)が無所属新人で元国会議員秘書の関泰章氏(44)=自民推薦=、無所属新人で介護福祉士の大村静香氏(49)を破り初当選した。
千間氏の当選によって同市議会(定員28)の勢力は市長与党の自民・公明の13議席に対し、立憲民主・共産・生活者ネットなどの非与党は15議席となり、今後の議会運営に影響を与えるとみられる。
▽西東京市長選挙確定得票数
当 | 37171 | 池澤隆史 (いけざわ・たかし) | 無現 |
11092 | 井手重美津子 (いでしげ・みつこ) | 共新 | |
6171 | 杉浦未来 (すぎうら・みくる) | 無新 |
▽西東京市会議員補欠選挙の確定得票数
当 | 22331 | 千間泉実 (せんま・いずみ) | 立新 |
19924 | 関泰章 (せき・やすあき) | 無新 | |
10204 | 大村静香 (おおむら・しずか) | 無新 |
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