健康被害が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、小平市はこのほど2024度に実施した市内にある民有井戸の地下水に関する水質調査結果を公表した。測定した34地点のうち16地点で国の指針値を上回った。

 数千種類以上あるとされるPFASは泡消火剤、金属メッキ処理剤、半導体の製造などに広く使用されてきたが、自然界ではほとんど分解されず、その一部には発がん性が指摘されている。現在、PFOS、PFOA、PFHxSは国際条約で使用・製造・輸入が禁止されている。

 環境省が示す水道水や地下水における指針値(暫定)はPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ng/L)。PFHxSの指針値は設定されていない。米国における水道水のPFOS・PFOA目標値各4ng/Lを大きく上回る一方、WHO(世界保健機構)の目標値各100ng/Lを下回っている。

 市民団体が2023 年に発表した多摩地区住民の血中PFAS濃度の検査結果では46%が米国の規制値を超え、なかでも立川・国分寺・国立・小平・武蔵野など北多摩地区の汚染が目立った。

 小平市のPFAS調査は都の補助金を得て初めて実施。市内を4ブロックに分けて、所有者から申し出のあった61カ所の井戸のうち34地点を選定し、地下水のPFOS、PFOA、PFHxS濃度を測定した。

 その結果、半数近くの16地点でPFOSとPFOA を合わせた指針値50ng/Lを上回った。なかでも第4ブロック(上水新町、たかの台、上水本町など市南部)では9地点のうち7地点で指針値を超過した。また34地点のうち7地点でWHOのPFOS目標値100 ng/Lを超え、最高値は第1ブロック(中島町、小川町、栄町などの市北西部)にある井戸の230 ng/Lだった。

 市環境政策課は井戸の所有者に調査結果を伝えるとともに井戸水を飲用しないよう呼びかけた。指針値を上回った井戸については「今後、国や都の動向に注視しながら対処していきたい」としている。

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参考情報:
有機フッ素化合物(PFAS)(小平市)

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By 片岡義博

共同通信社の文化部記者として主に演劇、論壇を担当。福岡編集部、文化部デスクを経て2007年にフリーに。書籍のライティングと編集、書評などを手掛ける。2009年から小平市在住。

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