野球場の人工芝敷設光景(「人工芝はなぜこわい?」から)

 「人工芝からもPFAS?!-ほんとうにいいの?中央公園グラウンドの人工芝化―」が2月16日、東京都小平市で開かれ、環境ジャーナリストの栗岡理子さんが、人工芝と健康問題、欧米の人工芝規制の動きなどについて講演した。同市中央公園のグラウンドや多目的エリアを人工芝にする動きがあり、計画に疑問を持つ市民団体「小平・環境の会」が主催した。

 栗岡さんは、2024年12月、「人工芝はなぜこわい?」(日本消費者連盟)を出版したばかり。講演では、サッカーグラウンドなどの人工芝に弾力性を持たせたり、芝を立たせたりするために充填されるゴムチップや経年劣化した人工芝の破片が飛散するなどして、人体に与える影響などについて、近年増えている海外の研究結果を解説した。米国の非営利組織が2023年にした調査で、天然芝と人工芝でサッカーをした子どもらの手から検出された有機フッ素化合物(PFAS)の比較データと、「選手が呼吸や皮膚呼吸などを通してPFASにさらされる可能性があるとした」見解も紹介した。

 また、州法で、PFASを添加した人工芝の使用を禁じるコロラド州やニューヨーク州など各州で人工芝規制が増えている米国の実情を説明。神戸市の競技場や川崎市の広場など、健康や環境に配慮して、国内でも天然芝に5%以下の人工繊維を入れた「ハイブリット芝」を使う自治体を例示した。

 栗岡さんは、「プラスチックに太陽光が当たると、メタンやエチレンなどの温室効果ガスを発生させる」として、「『気候非常事態宣言』や『ゼロカーボンシティ宣言』などをしながら人工芝化を進める自治体は、『火の用心』と言いながら放火しているようなもの」と厳しい評価だった。

 〈講演内容〉①人工芝の種類ごとの問題点②人工芝のマイクロプラスチック③人工芝と健康問題④パイルからもゴムチップからも有害化学物質が検出⑤ここまでわかった人工芝のPFAS⑥海外の人工芝規制と現状⑦マイクロプラスチックと有害化学物質以外の人工芝の問題点⑧天然芝に除草剤は必要か⑨ゴムチップ舗装の有害性

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By 吉井亨

元新聞記者 東京、北海道、九州のほか、群馬を除く関東5県などで取材。卒業後は日本語教師も。

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